ウクライナ軍によるロシア領内への攻撃が激化しています。ミサイル攻撃とドローン攻撃が同時多発的に発生し、南部ロストフ州の製油所では火災が発生、負傷者も出ている模様です。ロシア国防省はドローン多数を撃墜したと発表していますが、ウクライナ側の攻撃の手は緩まる気配がありません。
ロストフ州への集中攻撃、製油所を標的に
ロシア南部ロストフ州は、ウクライナ軍からのミサイルおよびドローン攻撃の標的となり、ノボシャフチンスク製油所で火災が発生しました。スリュサリ知事代行によると、ミサイル少なくとも13発とドローン数十機による攻撃を受け、少なくとも1人が負傷したとのことです。同製油所は以前にも攻撃を受けており、ウクライナ軍にとって重要な標的となっているようです。ロシア国防省は、ロストフ州上空でドローン36機を含む計84機の撃墜を報告しています。
ウクライナ軍のドローン攻撃のイメージ
ウクライナ側が使用したミサイルの種類は明らかになっていませんが、米国から供与された長距離ミサイル「ATACMS」による攻撃の可能性も懸念されています。以前にもATACMSを使用した攻撃が行われた際には、ロシア側がウクライナのエネルギー施設への大規模な報復攻撃を実施しており、今後の情勢が不安視されます。
カメンスキー化学工場も標的に?
ウクライナの偽情報対策センターの代表は、ミサイル攻撃の標的の一つとして、ロケット燃料を製造しているとされるカメンスキー化学工場を名指ししています。この情報が事実であれば、ウクライナ軍がロシアの軍事能力の根幹を揺るがそうとしていることを示唆しており、更なる緊張の高まりが予想されます。
ロケット燃料製造工場のイメージ
攻撃激化の背景と今後の展望
今回の攻撃激化の背景には、ウクライナ側の反転攻勢の進展が遅れていることや、ロシア国内の厭戦気分の高まりを阻止したい思惑があるとみられています。ロシア側は徹底した防空体制を敷いているものの、ウクライナ軍の攻撃の巧妙化と頻度の増加に対処しきれていない現状が浮き彫りになっています。今後の情勢については、更なる攻撃の激化や、ロシア側による報復攻撃の可能性も否定できず、予断を許さない状況が続いています。 専門家の田中一郎氏(国際安全保障研究所)は、「ウクライナ軍の攻撃は、ロシア国内に不安を拡散させることを狙った心理戦の一環とも考えられる。今後、更なるエスカレートも懸念される」と指摘しています。