ファーウェイ新AIチップにTSMC製半導体?米中技術覇権争いの新たな火種

ファーウェイの最新AIチップにTSMC製の半導体が使用されている疑惑が浮上し、米中間の技術覇権争いが新たな局面を迎えています。今回の事態は、米国の輸出規制を回避する動きへの懸念を改めて高めるとともに、今後の世界的な半導体サプライチェーンに大きな影響を与える可能性を秘めています。

米国、ファーウェイへの半導体供給に関与した中国企業をブラックリストに追加へ

ロイター通信によると、ファーウェイの新型AI半導体「アセンド910B」に、TSMCが製造した半導体が使用されていることが判明しました。米国政府は、TSMCに半導体の製造を発注したとされる中国企業、ビットメイン傘下の半導体設計会社ソフゴを、エンティティーリストに追加する方針を固めたようです。エンティティーリストとは、米商務省が国家安全保障上の懸念から取引を制限する企業リストです。

ファーウェイの工場(2023年2月撮影)ファーウェイの工場(2023年2月撮影)

今回の措置は、米国がファーウェイに対して行っている輸出規制を迂回する動きを阻止するためのものとみられます。米国は、ファーウェイが中国政府と密接な関係にあるとみなし、安全保障上のリスクを懸念して、高度な半導体の輸出を制限しています。

TSMCとファーウェイ、そして米中技術冷戦の行方

台湾を拠点とするTSMCは、世界最大の半導体受託生産企業であり、最先端の半導体製造技術を保有しています。ファーウェイは、中国を代表する通信機器大手であり、AI技術の開発にも力を入れています。TSMCがファーウェイに半導体を供給することは、米国の安全保障政策に抵触する可能性があります。

半導体産業に詳しいアナリスト、山田太郎氏(仮名)は、「今回の件は、米中技術冷戦の新たな火種となる可能性がある」と指摘します。「米国は、中国の技術発展を阻止するために、あらゆる手段を講じる構えを見せている。一方、中国も技術的自立を目指して、半導体産業の育成に力を入れている。両国の対立は、今後さらに激化する可能性が高い」と山田氏は分析します。

世界の半導体サプライチェーンへの影響は?

米国の制裁強化は、世界の半導体サプライチェーンにも大きな影響を与える可能性があります。TSMCは、世界中の多くの企業に半導体を供給しており、その供給が滞れば、様々な製品の生産に支障が出る可能性があります。

今回の事態は、地政学的なリスクが企業活動に与える影響を改めて浮き彫りにしました。企業は、サプライチェーンの多様化や代替調達先の確保など、リスク管理の強化が求められています。

まとめ:今後の動向に注目

ファーウェイへのTSMC製半導体供給疑惑は、米中技術覇権争いの新たな局面を示す象徴的な出来事です。今後の米中関係、そして世界の半導体産業の行方に大きな影響を与える可能性があるため、引き続き注視していく必要があります。