韓国各地で尹大統領の弾劾賛成・反対集会が同時開催、緊張高まる

韓国国会で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾訴追案が可決されてから初めての週末となった21日、全国各地で尹大統領の退陣を求める集会と、弾劾に反対する集会が同時多発的に開催され、緊張感が高まりました。

光化門に集結した賛成派と反対派

従来、弾劾賛成派は国会周辺、反対派は光化門で集会を開いていましたが、今回は両派ともに光化門に集結。景福宮東十字閣前で開催された退陣要求集会には、主催者発表で30万人、警察推計で2万5000人が参加しました。一方、世宗大路一帯では弾劾反対集会が開かれ、主催者発表で200万人、警察推計で3万6000人が参加。1キロメートルほどの距離を隔てての同時開催となり、一時緊張が走りましたが、大きな衝突は発生しませんでした。

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退陣要求集会の様子

退陣要求集会では、参加者が「尹錫悦は即刻逮捕」「即刻罷免」などと書かれたプラカードを掲げ、寒空の下、熱心に訴えかけました。全国民主労働組合総連盟(民主労総)もソウル雇用労働庁から行進し、集会に合流。中にはマスクや軽食を無料で配布する参加者もいたそうです。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表も自身のFacebookで集会参加を呼びかけました。

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弾劾反対集会の様子

一方、弾劾反対集会では、「弾劾反対、李在明拘束」と書かれたプラカードや太極旗、星条旗を掲げた参加者が「非常戒厳捜査が内乱だ」「主体思想派処断」などのスローガンを叫びました。警察推計では、弾劾訴追案可決後、週末の反対集会の参加者数が賛成集会を上回ったのは今回が初めて。尹大統領支持層の結集が影響したとみられています。

地方でも退陣要求集会開催

ソウルだけでなく、地方都市でも退陣要求集会が開催されました。全州、蔚山、大邱、済州などで市民団体が中心となり、尹大統領の即刻罷免や憲法裁判所による早期の弾劾認容を求めました。

トラクターで上京を試みた農民団体

全国農民会総連盟はトラクターで上京し、尹大統領官邸と光化門での集会への行進を計画していましたが、警察に阻止されました。一時、南泰嶺峠周辺の道路が通行止めとなり、交通渋滞が発生しました。

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今後の動向

弾劾訴追案可決後、国民の関心は憲法裁判所の審判へと移っています。憲法裁判所周辺の警備も強化される中、今後の政治情勢の行方に注目が集まっています。今回の同時多発的な集会は、韓国社会の深い分断を改めて浮き彫りにしました。今後の展開によっては、更なる混乱も予想されます。