タクシン元首相、タイ政界で再び存在感 ミャンマー和平仲介やマレーシア首相顧問に

タイの元首相、タクシン氏が再び政界での影響力を強めています。次女であるペートンタン首相を支えながら、ミャンマー内戦の和平仲介役を買って出るなど、精力的に活動しています。本記事では、タクシン氏の最近の動向と、その背景にある狙いについて解説します。

タクシン氏の帰国と政界復帰

2001年から2006年まで首相を務めたタクシン氏は、汚職罪などで国外逃亡していましたが、2023年8月に帰国。恩赦と仮釈放を経て、本格的に政治活動を再開しました。

タクシン氏の写真タクシン氏の写真

セター政権時代には内閣改造に影響力を行使し、自身に近い人物を入閣させるなど、その手腕を見せつけました。

ミャンマー和平仲介への取り組み

タクシン氏はミャンマー内戦の和平仲介にも意欲を見せています。タイ北部チェンマイを訪問した際には、国軍と対立する複数の抵抗勢力と個別に会談し、仲介を申し出たとのことです。カンボジアのフンセン上院議長とも連携し、和平実現に向けて動いているとみられています。

マレーシア首相の非公式顧問に就任

タクシン氏は2024年、ASEAN議長国を務めるマレーシアのアンワル首相の非公式顧問にも就任しました。ミャンマー内戦が主要議題となるASEANにおいて、タクシン氏の助言が注目されています。

ペートンタン首相の写真ペートンタン首相の写真

タクシン氏の真の狙いは?

タクシン氏の精力的な活動の背景には、タイ貢献党の支持率低迷があると分析されています。2023年5月の総選挙では前進党に敗北し、親軍派との連立政権樹立により、特に若年層からの反発を受けています。

政治アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「タクシン氏はミャンマー問題などを通じて自身の評判を回復させ、貢献党とペートンタン首相の支持率向上を狙っている」と指摘しています。野党議員からは「ペートンタン氏は操り人形で、真の首相はタクシン氏だ」という声も上がっています。

今後の動向に注目

タクシン氏の今後の動向は、タイ政界だけでなく、ASEAN全体の情勢にも大きな影響を与える可能性があります。ミャンマー和平への貢献、そしてタイ貢献党の支持率回復に向けて、タクシン氏がどのような戦略を描くのか、引き続き注目していく必要があります。