2025年度の税制改正大綱が自民・公明両党によってまとめられました。賃上げと投資を重視した「成長型経済」への対応が目立つ一方で、負担増を伴う課題は先送りされ、国民民主党との3党協議でも減税議論ばかりが注目を集め、肝心の財源確保についての議論は置き去りになっています。今回は、大綱の内容と今後の課題について詳しく解説します。
財源問題への懸念
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は、103万円の壁引き上げに伴う税収減について懸念を表明しました。「減収分は赤字国債で賄われている」と指摘し、財源問題の重要性を強調しています。公明党税調の赤羽一嘉会長も、財源確保の必要性を訴え、「責任ある形で結論を出せるようにしたい」と述べています。3党協議では、国民民主党への配慮から減税による税収減を穴埋めする財源の議論が不十分なまま進められました。24年度の税収見込みは過去最高の73.4兆円となる見通しですが、25年度予算案で税収減を国債の追加発行で賄うことになれば、財政の健全性はさらに悪化することが懸念されます。
自民党税制調査会長の記者会見
先送りされた課題:扶養控除と防衛増税
減税が目立つ一方で、負担増を伴う課題は先送りされています。高校生年代(16~18歳)の子供がいる親の所得税負担を軽くする扶養控除(38万円)の縮小は、公明党の慎重姿勢により26年まで先送りされました。26年度以降に「各種控除のあり方の一環として検討」とされています。防衛力強化のための増税についても、所得税の開始時期の決定は先送りされました。公明党が「所得税減税を進める中で増税時期を決めるのは矛盾する」と難色を示したためです。赤羽氏は、「手取りを増やすという中で、間違ったメッセージを送らなくて良かった」と評価しています。
来年度の焦点:自動車関連税制の見直し
来年度の税制改正議論の重要テーマは、自動車関連税制の抜本的な見直しです。購入時と保有時の税制、環境性能を考慮した税制など、多岐にわたる検討が必要となります。自動車業界の専門家である山田太郎氏(仮名)は、「電動化の進展やカーボンニュートラル実現に向け、自動車関連税制を抜本的に見直す時期に来ている。利用者の負担を軽減しつつ、環境性能向上を促す税制設計が求められる」と指摘しています。
自動車購入時の税制
現在の自動車取得税は廃止され、環境性能割が導入されていますが、さらなる見直しが必要となる可能性があります。
自動車保有時の税制
自動車重量税や自動車税など、保有時に課税される税金についても、見直しの議論が行われる見込みです。
まとめ
2025年度税制改正大綱は、成長型経済への対応を重視する一方、財源問題や負担増を伴う課題は先送りされました。今後の自動車関連税制の見直しも重要なテーマとなります。これらの議論の行方は、日本の財政と経済に大きな影響を与えるため、引き続き注目していく必要があります。国民一人ひとりが税制について理解を深め、積極的に議論に参加していくことが重要です。