脱毛サロン「ミュゼプラチナム」運営会社MPHが破産手続き開始

大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の事業を運営していたMPH株式会社(TDB企業コード:864067496、資本金1000万円、東京都大田区)は、2024年8月18日に東京地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。同社は今年5月16日に元従業員など債権者からの破産申し立てを受け、一方では6月2日に株主総会の決議により解散し、通常清算または特別清算を目指していました。しかし、7月25日の審尋期日を経て、裁判所が破産手続きの開始を判断したものです。

ミュゼプラチナム事業の複雑な変遷

MPHは2024年9月に株式会社ミュゼプラチナム(TDB企業コード:018068034)から新設分割によって設立され、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」事業を承継し、全国167店舗(2024年12月時点、直営)を運営していました。元々「ミュゼプラチナム」は2015年から株式会社MIT(TDB企業コード:757007548、旧商号:株式会社ミュゼプラチナム)が手がけていましたが、事業多角化やコロナ禍の影響で経営不振に陥っていました。

2023年4月にはAV機器メーカーの船井電機株式会社の持ち株会社が関係会社を通じてMITの全株式を取得し、再建を図りましたが、資金繰りは改善せず、2024年3月に同グループは株式を売却。同年5月にはMITから新設分割で設立された新たな株式会社ミュゼプラチナムに全事業が承継され、株主も再度変更されました。それでも資金繰りの改善は見られず、新しい株主が再び株式を売却し、同年9月に設立されたMPHが、この株式会社ミュゼプラチナムの全事業を承継するという複雑な経緯を辿っていました。

脱毛サロン大手ミュゼプラチナムの運営会社MPH株式会社の経営状況を示すイメージ脱毛サロン大手ミュゼプラチナムの運営会社MPH株式会社の経営状況を示すイメージ

旧会社債務と資金繰りの悪化

しかし、新設分割前の旧会社(株式会社MITと旧株式会社ミュゼプラチナム)には債務が残され、特に社会保険料の滞納がありました。このため、日本年金機構がMPHの売掛金を差し押さえ、売り上げが入らない状況が発生しました。その結果、2024年11月以降、取引先や従業員への給料の支払いが度々遅延する事態となり、MPHは滞納が旧会社の問題であるとして日本年金機構と協議を進めていましたが、改善には至りませんでした。

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MPHの破産手続き開始決定は、このように過去の複雑な事業承継と旧会社が残した社会保険料の滞納問題が、現在の運営会社の資金繰りに深刻な影響を与え、最終的に経営破綻に至ったことを示しています。

参照元

  • 帝国データバンク:MPH(株)が破産手続き開始決定 (Yahoo!ニュース掲載記事より)