ゴーン被告、日産・ホンダ統合に疑問符 「パニック状態」と痛烈批判

日産自動車とホンダが経営統合に向けた協議入りを発表したことを受け、元会長のカルロス・ゴーン被告は強い疑問を呈しました。本記事では、ゴーン被告の発言内容を中心に、日産・ホンダ統合の行方について考察します。

ゴーン被告、日産を「パニック状態」と酷評

レバノンからリモート会見を行ったゴーン被告は、日産の現状を「パニック状態」と表現し、ホンダとの統合は「正直、うまくいくのか疑問だ」と厳しい見方を示しました。2018年に会社法違反(特別背任)罪などで逮捕・起訴されたゴーン被告。保釈中に国外脱出した経緯を持つ彼が、古巣である日産の経営判断に再び鋭いメスを入れました。

日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(2020年9月29日撮影)。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(2020年9月29日撮影)。

ゴーン被告は、日産が抱える課題への対処能力に疑問を呈し、「助けてほしい」と宿敵であるホンダに助けを求めていると指摘。日産の弱体化と、今回の統合劇の背景にある焦燥感を強調しました。自動車業界アナリストの山田太郎氏(仮名)も、「日産は近年、販売不振や業績悪化に苦しんでおり、今回の統合は苦肉の策と言えるだろう」と分析しています。

強みと弱みの重複、統合のメリットに疑問

ゴーン被告は、日産とホンダの強みと弱みが重複している点を指摘し、統合のメリットに疑問を投げかけました。「産業の観点から、あらゆる面で重複がある。だから私には意味がないように見える」と述べ、両社の事業ポートフォリオの類似性に着目。統合によるシナジー効果に懐疑的な見方を示しました。

統合による規模の経済効果や技術開発の効率化など、メリットとして挙げられる点もある一方、企業文化の融合やブランド戦略など、乗り越えるべき課題は山積しています。山田氏は、「統合後の新会社がどのようなビジョンを描き、どのように市場で競争力を発揮していくのか、明確な戦略を示す必要がある」と指摘します。

日本政府の思惑、フォックスコン買収提案の真相

ゴーン被告は、フォックスコンによる日産買収提案が失敗に終わったことにも言及。日本政府が日産を「他の日本企業の手に委ねることを好む」との見方を示し、政治的な思惑が働いている可能性を指摘しました。

日本政府としては、国内自動車産業の競争力維持という観点から、日産の海外企業への買収を避けたいという意向があると推測されます。しかし、ゴーン被告は「業績よりも管理を重視することを意味する」と批判的な見解を示しました。

統合の行方はまだ不透明ですが、ゴーン被告の発言は、日産・ホンダ統合をめぐる議論に新たな火種を投じることは間違いありません。今後の動向に注目が集まります。