内閣府は23日、2023年の国民1人あたりの名目国内総生産(GDP)は米ドル換算で前年比0.8%減の3万3849ドルとなり、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位だったと発表した。順位は前年と同じだが、比較できる1980年以降で最も低く、21位の韓国(3万5563ドル)を下回った。
内閣府によると、韓国は今年に入ってGDPの算出基準を改定。過去の金額も見直したところ、22年も1人あたりGDPで日本を上回っていたことが判明した。OECD加盟国の順位で韓国に抜かれたのは初めてだった。
国民1人あたりGDPは、石破茂首相が就任後初の所信表明演説で「増加」を掲げるなど、政権が重視する指標の一つ。日本の順位は00年の2位をピークに下落の傾向が続く。22年はイタリアに抜かれ、14年ぶりにG7で最下位に転落した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「円安や日本企業の競争力の衰えだけでなく、高齢化が進んで1人あたりの稼ぐ力が低下したことも大きい」と分析する。
名目GDPは物価の変動分も反映されるため、日本も円ベースの金額は物価高もあって増えた。だが、円安が進んだことで、ドル換算時の目減りの影響のほうが大きくなった。
朝日新聞社