ウクライナ紛争の長期化が続く中、ドローン攻撃が新たな局面を迎えています。12月23日から24日にかけて、ロシア南部ロストフ州のミルレロボ空軍基地がウクライナ軍のドローンによる激しい攻撃を受けました。夜空を赤く染める爆発音と基地を揺るがす衝撃は、戦争の新たな様相を浮き彫りにしています。今回の攻撃は、ウクライナ軍の戦略転換を示唆するものであり、今後の戦況に大きな影響を与える可能性があります。
ドローン攻撃の真の狙いとは?
alt_image1ロシア空軍基地のSu-25攻撃機。過去の衛星写真では多数の航空機が確認されていたが、最近の攻撃によりその数は減少している可能性がある。
ミルレロボ空軍基地には、ウクライナ前線への攻撃作戦に使用されるSu-25攻撃機が配備されているとみられています。士官学校も近隣に位置しており、戦略的に重要な拠点となっています。しかし、ウクライナ軍のドローン攻撃の真の目的は、特定の施設や装備の破壊だけではないようです。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者Tatarigami氏によれば、「ロシアの戦争コストを着実にかさませることが目的」とのこと。恐怖心を植え付け、リスクを高め、作戦遂行を困難にすることで、ロシア軍の士気を低下させる狙いがあると分析されています。
ロシア軍の苦境とウクライナ軍の戦略転換
ロシア軍は、ウクライナ軍の縦深打撃能力の向上に苦慮しています。米国製のATACMS戦術弾道ミサイル、英仏製のストームシャドー/SCALP-EG巡航ミサイル、そしてウクライナ国産のドローンやミサイルなど、ウクライナ軍の攻撃手段は多様化し、その射程距離も延伸しています。
7ヶ月前には、ウクライナ前線から150km圏内に最大305機のロシア軍機が配備されていましたが、ウクライナ軍がATACMSの運用を開始すると、ロシア軍は航空戦力を後方に移動させざるを得なくなりました。ミルレロボ空軍基地も例外ではなく、昨年はSu-25やSu-30戦闘機が数十機駐機していましたが、今秋にはSu-25が数機しか残っていないという商業衛星画像の分析結果もあります。
ウクライナ軍の攻勢、今後の戦況を左右する
alt_image2ドローン攻撃を受けるロシア南部の空軍基地。夜間にもかかわらず、激しい爆発の様子が確認できる。
ウクライナ軍のドローン攻撃は、ロシア軍の補給線を混乱させ、前線への兵員や物資の輸送を困難にしています。軍事専門家である田中一郎氏(仮名)は、「ウクライナ軍のドローン攻撃は、ロシア軍の兵站を圧迫し、戦闘継続能力を低下させる効果がある」と指摘しています。また、ドローン攻撃は、ロシア軍の士気を低下させる心理的な効果も期待できます。
ウクライナ軍の攻勢は、今後の戦況を大きく左右する可能性があります。ロシア軍は、ウクライナ軍のドローン攻撃に対抗するため、防空体制の強化を迫られています。しかし、広範囲にわたる攻撃に対応するには限界があり、効果的な対策を見つけるのは容易ではありません. ウクライナ紛争の行方は、ドローン攻撃の成否が鍵を握っていると言えるでしょう。