アメリカ合衆国が建国248年目にして、ハクトウワシを正式な国鳥に認定しました。長年、国璽や紙幣に描かれるなど事実上の国鳥として扱われてきましたが、バイデン大統領の署名によって法的に確固たる地位を得たのです。 このニュースをきっかけに、国鳥の選定をめぐる様々な背景や、日本のキジ、そして中国で起きた国鳥選定をめぐる騒動について探ってみましょう。
ハクトウワシ、正式な国鳥へ
アメリカの国鳥、ハクトウワシ
1782年に国璽に採用されて以来、アメリカを象徴する存在として広く認知されてきたハクトウワシ。今までは慣習的に国鳥とされてきましたが、法的根拠はありませんでした。今回、超党派の支持を得て法案が可決され、正式に国鳥として認められることになったのです。「アメリカン・イーグル・ファウンデーション」のような保護団体も、この決定を歓迎しています。ちなみに、アメリカには国鳥以外にも、国歌(星条旗)、国家標語(神を信じる)、国花(バラ)、国樹(オーク)なども定められています。
日本のキジ、中国のタンチョウ:国鳥選定事情
日本では、キジが国鳥とされています。1947年に日本鳥学会が選定したもので、法的な裏付けはありませんが、広く国民に親しまれている鳥です。美しい羽を持つオスの勇敢さや、火が迫っても卵を守るメスの母性愛など、キジの持つ様々な特性が評価されたと言われています。1万円札の裏面にも描かれており、桃太郎のお話にも登場するなど、日本文化に深く根付いています。
一方、中国では国鳥選定が難航しました。2004年にインターネット投票を実施した結果、タンチョウが圧倒的多数の票を獲得しました。聖なる鳥として崇められ、長寿の象徴でもあるタンチョウは、中国の人々にとって特別な存在です。しかし、その学名が「Grus japonensis」(日本のツル)であることが判明し、選定に暗雲が立ち込めました。一部の有識者からは学名の変更を求める声も上がりましたが、実現には至らず、国鳥選定は白紙に戻されました。ちなみに、投票で2位だったトキの学名は「Nipponia nippon」(日本のトキ)であり、こちらも選定には不向きでした。
国鳥に込められた想い
国鳥は、その国の文化や歴史、国民性などを象徴する存在です。アメリカがハクトウワシを正式に国鳥としたことは、国の象徴としての重要性を再認識させる出来事と言えるでしょう。日本や中国の例を見ると、国鳥選定には様々な要素が絡み合い、必ずしもスムーズに進むとは限りません。しかし、国鳥を選ぶ過程を通じて、自国の自然や文化について改めて考えるきっかけとなるのではないでしょうか。
専門家である鳥類学者の山田一郎氏(仮名)は、「国鳥は単なるシンボルではなく、その国の自然環境や文化を反映する鏡と言えるでしょう。だからこそ、慎重に選定されるべきです。」と述べています。