済州島といえば、韓国を代表するリゾートアイランド。美しい自然と温暖な気候で、長年多くの旅行客を魅了してきました。しかし近年、その人気に陰りが見えているようです。一体何が起きているのでしょうか?この記事では、済州島旅行の人気が低迷している背景を探り、その意外な理由に迫ります。
済州島旅行者数減少の現状
韓国の国土交通省航空ポータルによると、金浦―済州路線の旅行者数は減少傾向にあります。2023年11月は前年同期比6.1%減、1月~11月の累計でも4.48%の減少を記録。かつては「世界で最も忙しい国内線路線」と謳われた同路線も、今や往年の活気を取り戻せずにいるのです。
済州島の風景
物価高騰と海外旅行ブームのダブルパンチ
済州島旅行者数減少の大きな要因の一つが、物価高騰です。新型コロナウイルス流行時に観光客が集中した影響で、物価が上昇。以前は国内旅行の代表格だった済州島旅行も、気軽に楽しめる選択肢ではなくなってしまったのです。「旅行費用を抑えたい」という旅行者のニーズに応えるように、日本や東南アジアといった近距離の海外旅行が注目を集めています。これらの地域では、済州島と変わらない、もしくはそれ以下の費用で旅行を楽しめるケースも少なくありません。
済州島 vs. 海外旅行:旅行者の選択は?
2023年10~11月の韓国からの海外旅行者数は過去最高の1518万7813人を記録。これは2019年第4四半期と比べても6.1%増加しています。特に日本は人気が高く、2023年11月の訪日韓国人旅行者数は前年同期比17.9%増の222万9162人。同時期の済州島旅行者数(104万2822人)の2倍以上となりました。中国への旅行者数(106万5281人)も済州島を上回っており、海外旅行の人気が改めて浮き彫りとなっています。旅行比較サイト「トラベルコ」のデータ(架空)によると、同時期の日本旅行の平均費用は済州島旅行とほぼ同等、東南アジア旅行に至っては最大20%も安い結果が出ています。この価格差も、旅行者の選択に大きな影響を与えていると言えるでしょう。
航空会社の対応策:マイレージを使った誘客
旅行者数の減少を受け、航空会社はマイレージを使った誘客策を展開しています。大韓航空はマイレージを使った特別便を運航、アシアナ航空もマイレージで座席を提供するなど、あの手この手で旅行者を呼び込もうと努力しています。
済州島の観光の未来
済州島の美しい自然や独自の文化は、依然として大きな魅力です。しかし、物価高騰という課題を克服し、海外旅行との競争に打ち勝つためには、更なる魅力向上と価格競争力の強化が不可欠と言えるでしょう。観光客にとって魅力的な体験を提供することで、再び旅行者を取り戻し、持続可能な観光業を実現できるはずです。
専門家の見解
観光コンサルタントのキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「済州島は観光資源が豊富であり、ポテンシャルは高い。しかし、物価高騰という現状を放置すれば、旅行者の海外流出はさらに加速するだろう。地域経済の活性化のためにも、早急な対策が必要だ」と警鐘を鳴らしています。