ウクライナ国防省が新たに公開した映像は、ウクライナの森林地帯が電波妨害に強い光ファイバードローン用のケーブルで文字通り「覆われている」様子を示しています。これは、激化する電子戦への対抗策として有線ドローンが急速に普及している現状を浮き彫りにしています。ジャミング下でも安定した通信を可能にする光ファイバードローンは、現代戦の新たな様相を映し出しています。
ウクライナ国防省の最新映像が示すもの
2025年6月27日にウクライナ国防省が公開した映像には、陸軍第63独立機械化旅団が活動するセレブリャンスキー森林地帯の様子が収められています。この映像では、無数の光ファイバーケーブルが地面や樹木に「蜘蛛の巣」のように張り巡らされている衝撃的な光景が確認できます。ウクライナ国防省はこの映像に「ここで何機のドローンが飛んでいるのかを想像してみてほしい」とコメントを添えています。森林の一部ではケーブルが大量に密集しており、特定のルートで多数の光ファイバードローンが運用されたことを示唆しています。
ウクライナ・セレブリャンスキー森林の地面と樹木を覆う無数の光ファイバーケーブル。有線ドローンが頻繁に使用された痕跡。
光ファイバードローンとは?
光ファイバードローンは、操縦者とドローンが細長い光ファイバーケーブルで直接物理的に接続されているシステムです。これにより、無線通信に依存する従来型のドローンとは異なり、敵の電子戦による電波妨害やジャミングの影響をほぼ受けずに運用が可能となります。安定した通信経路が確保されるため、偵察や攻撃任務を確実に行える利点があります。ウクライナの戦場のような強力な電子戦環境下では、この耐妨害性が極めて重要となります。
戦場での電子戦と有線ドローンの普及
ウクライナの戦場では、双方が強力な電子戦システムを展開しており、無線で操作される多くのドローンが無力化される事態が頻発しています。これはドローンを主力とする現代の戦争において大きな課題となっています。こうした状況への対抗策として、ウクライナだけでなくロシア側も光ファイバードローンの導入を進めており、特にロシアは2024年に有線ドローンシステムの使用を開始したと報じられています。今回公開されたような大量のケーブルは、このジャミング対策技術がどれほど大規模に展開されているかを示す強力な証拠と言えるでしょう。セレブリャンスキー森林地帯は、特に激しい戦闘が行われているルハンシク州に位置しており、ここでの有線ドローンの集中使用は、その戦略的重要性を物語っています。
結論
ウクライナにおける光ファイバードローンの広範な使用は、現代戦場での電子戦の深刻さと、それに対抗するための革新的な技術開発が進んでいる現実を浮き彫りにしています。ウクライナ国防省が公開した映像は、有線ドローンがもはやニッチな技術ではなく、戦場の景観を変えるほどの規模で展開されていることを明確に示しています。これは、今後のドローン**戦争**の進化において注目すべき動向です。
参考文献
https://news.yahoo.co.jp/articles/99730430867127e92a0a2e0ae2f65cc5ffd64ad7