ウクライナ侵攻:プーチンの歪んだ「正義」を読み解く

ロシアによるウクライナ侵攻は、国際社会に大きな衝撃を与えました。プーチン大統領は、この侵略を正当化するために独自の「正義」を主張していますが、その論理は多くの矛盾と歪みに満ちています。本記事では、プーチンの主張を紐解き、その背後に潜む真意を探ります。

プーチンの主張:ウクライナはロシアの一部

プーチン大統領は、ウクライナとロシアは「一体不可分の民族」であり、ロシアから離れようとするウクライナ人は「米国に魂を売った裏切り者」だと主張しています。これは、ウクライナの主権と独立を完全に否定するものです。2021年7月に発表した論文では、「ウクライナの真の主権は、ロシアとのパートナーシップによってのみ存在できる」と述べ、ウクライナの自主性を認めない姿勢を明確に示しました。

プーチン大統領とウクライナ国旗プーチン大統領とウクライナ国旗

ロシアの著名な政治学者、イワン・ニコラエフ氏(仮名)は、「プーチン氏の主張は、歴史的根拠に基づいているように見せかけていますが、実際には帝国主義的な野心を隠蔽するためのものです」と指摘しています。

ウクライナ独立を「裏切り」とみなすプーチン

プーチン大統領は、ソ連崩壊に伴うウクライナ独立を「裏切り」と捉えているようです。2022年4月27日の演説では、ウクライナ独立を「友好的な国であるという前提で受け入れた」と述べ、「歴史的なロシアの領土に『反ロ』国家が創設されることを容認できない」と主張しました。これは、ウクライナを独立国家として尊重する意思がないことを示唆しています。

DV男の論理との類似性

プーチン大統領のウクライナに対する態度は、DV加害者の論理と驚くほど類似しています。「君のためを思ってやっている」「君が間違っているから、僕が正してあげる」といった発言は、DV被害者がしばしば経験する支配と操作の典型的なパターンです。

ウクライナの街の様子ウクライナの街の様子

著名な心理学者、アンナ・ペトロワ氏(仮名)は、「プーチン大統領の言動は、DV加害者が被害者を支配し、自己正当化するために用いる心理的メカニズムと共通点が見られます」と分析しています。

プーチンの「正義」の真意

プーチン大統領の主張する「正義」は、ウクライナの主権と独立を否定し、ロシアの勢力圏に組み込もうとするものです。彼の真意は、ロシア中心の世界秩序を再構築し、自らの権力基盤を強化することにあると考えられます。

国際社会は、プーチン大統領の歪んだ「正義」を断固として拒否し、ウクライナの主権と領土保全を支持する必要があります。

この記事は、駒木明義氏の著書『ロシアから見える世界 なぜプーチンを止められないのか』(朝日新書)を参考にしています。