韓国では、地方空港の新設・拡張計画が進んでいますが、その多くが渡り鳥の飛来地周辺に位置しており、バードストライクの危険性が懸念されています。この記事では、セマングム空港をはじめとする新空港計画におけるバードストライク対策の現状と課題について解説します。
渡り鳥の楽園に建設される空港:バードストライクの危険性
韓国国土交通部が推進する新空港計画の中には、渡り鳥の主要な飛来地である錦江河口に建設予定のセマングム空港が含まれています。この地域は、トモエガモ、オオハクチョウ、カワウ、チドリなど多くの渡り鳥の中継地となっており、バードストライクの発生リスクが非常に高いとされています。
セマングム新空港の環境影響評価報告書でも、シギやチドリ類などの渡り鳥と航空機の衝突の可能性が指摘されており、年間予想バードストライク発生回数は、全国で最も多い仁川空港の3.5倍から15.3倍と推定されています。
セマングム新空港予定地上空を飛ぶF16戦闘機とカワウの群れ
専門家の指摘:環境影響評価におけるバードストライク対策の軽視
2021年には、セマングム新空港予定地上空で戦闘機の周囲を鳥が囲んで飛行する危険な場面が目撃されました。セマングム市民生態調査団のオ・ドンピル団長は、「鳥の数が非常に多いため、空港建設は適切ではない」と主張しています。
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ソウル大学山林科学部のチェ・チャンヨン教授は、「空港予定地は鳥類生息地と重なることは避けられないが、環境影響評価においてバードストライク対策が軽視されている」と指摘しています。また、「国立公園を守る市民の会」のチョン・インチョル事務局長も、環境影響評価におけるバードストライク問題への対応の不備を批判しています。
他の新空港計画における課題:加徳島、済州第2空港
セマングム空港以外にも、加徳島新空港や済州第2空港など、他の新空港計画でもバードストライクの危険性が指摘されています。加徳島新空港予定地は猛禽類の生息地であり、済州第2空港は既存の済州空港よりもバードストライクの危険性が高いと評価されています。
バードストライク対策の強化に向けて
バードストライクは航空機の安全運行に深刻な脅威となるため、新空港建設においては、綿密な鳥類調査に基づいた効果的な対策が不可欠です。環境影響評価の段階からバードストライク対策を重視し、専門家の意見を積極的に取り入れることで、安全な空の旅を守ることが重要です。