景気動向を反映する冬のボーナス。2024年は中小企業にとってどのような結果となったのでしょうか?この記事では、エン・ジャパンの調査結果に基づき、中小企業の冬のボーナスの支給状況、その背景にある要因、そして業界別の動向を詳しく解説していきます。
冬のボーナス支給、9割超え!その背景とは?
エン・ジャパンが実施した調査によると、2024年の冬にボーナスを支給する中小企業は90%以上に達しました。これは過去2年間と比較して8ポイント、2021年と比較すると11ポイントの増加です。
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この大幅な増加の背景には、物価高騰と深刻な人手不足という2つの大きな要因があると、『人事のミカタ』編集長の手塚伸弥氏は指摘します。
物価高騰が続く中、実質賃金が上昇しなければ社員のモチベーション低下や離職につながる可能性があります。企業はボーナス支給を通じて社員の収入を増やし、定着率向上を図っていると考えられます。
また、人材獲得競争が激化する中で、ボーナスは企業の魅力を高める重要な要素となっています。優秀な人材を確保するために、ボーナス支給に踏み切る企業が増えているのです。
業界別に見る支給状況
支給割合を業界別に見ると、「メーカー」「金融・コンサル関連」「人材関連」は100%、「商社」は95%、「広告・出版・マスコミ関連」は92%と、高い水準となっています。
2023年と比較した増減額の動向
2023年と比較して、支給額が増額したと回答した企業は48%でした。業界別では「金融・コンサル関連」(100%)、「不動産・建設関連」(79%)、「人材関連」(75%)で増額が目立ちました。
一方、減額したと回答した企業は「流通・小売関連」(63%)、「サービス関連」(57%)、「広告・出版・マスコミ関連」(55%)となりました。
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金融業界はマイナス金利解除などの影響で業績が回復傾向にあり、不動産・建設業界も大手企業を中心に増収を達成しています。これらの業績好調な業界では、ボーナス増額の傾向が見られます。
減額の背景にある事情
一方、流通・小売関連は営業時間の制限や人件費高騰による利益減少の影響を受け、ボーナスが抑制されたと手塚氏は分析しています。広告・出版・マスコミ関連では、広告業界は好調であるものの、出版・マスコミは厳しい状況が続いており、業績不振の企業で減額が行われたと見られています。
まとめ:中小企業の冬のボーナスは増加傾向、しかし業界格差も
2024年の冬のボーナスは、多くの業界で増加傾向が見られました。しかし、業界によってはその状況は異なり、業績の好不調がボーナス支給額に大きく影響していることが分かります。今後の経済動向や業界の動向を注視していく必要があると言えるでしょう。