【東京駅】京葉線ホームが遠い理由:成田新幹線計画との意外な関係

東京駅。日本の玄関口であり、無数の路線が交錯する巨大ターミナル。しかし、千葉方面へ向かう京葉線のホームだけが、他の路線から遠く離れた場所に位置しているのはなぜでしょうか?今回は、その知られざる理由に迫り、成田新幹線計画との意外な関係を紐解いていきます。

東京駅構内における京葉線ホームの位置

東京駅には、丸の内口の赤レンガ駅舎から新幹線が発着する八重洲口、そして地下には横須賀線・総武快速線のホームが広がっています。しかし、京葉線のホームだけは、これらの主要路線から数百メートル南の地下、鍛冶橋通りの地下に位置しています。有楽町駅との間に位置しており、他のJR路線からは地下通路で繋がっていますが、その距離の長さは多くの利用者にとって悩みの種となっています。

東京駅の京葉線ホームへの入り口東京駅の京葉線ホームへの入り口

東京駅の北端から京葉線ホームまでは、なんと約600m。新幹線から京葉線への乗り換えは、時刻表では20分と案内されているほどです。「東京駅構内図」を片手に、初めて京葉線を利用する旅行客が迷ってしまうのも無理はありません。フードコーディネーターの山田花子さん(仮名)も、「地方から上京した際に、京葉線ホームまでの遠さに驚きました。大きな荷物を持っての移動は大変でしたね」と語っています。

なぜ京葉線ホームは遠いのか?成田新幹線計画との関係

では、なぜ京葉線ホームはこんなにも遠い場所に作られたのでしょうか?その理由は、実は成田新幹線計画と深く関わっています。

京葉線は、もともと東京湾岸を走る貨物線として計画されました。しかし、沿線の発展に伴い旅客輸送の需要が高まり、都心への乗り入れが検討されるようになりました。その際、問題となったのが都心部における用地の確保です。

当時、東京と成田空港を結ぶ成田新幹線計画が進行していました。しかし、建設反対運動や国鉄の経営悪化などにより、1983年に工事は凍結。すでに建設が進んでいた成田新幹線の東京駅ホーム予定地、鍛冶橋通りの地下が、その後、京葉線のホームとして転用されることになったのです。

成田新幹線の未成線路成田新幹線の未成線路

八重洲口の方が他路線との接続には便利だったのではないか?という疑問も浮かびますが、京葉線の将来的な新宿方面への延伸計画を考慮し、南側の鍛冶橋通りが選ばれたと言われています。鉄道ジャーナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「新宿延伸を見据えた配置は、将来的な都市開発を見通した先見性のある計画だったと言えるでしょう」と評価しています。

新宿延伸計画:実現への道は?

京葉線の新宿延伸計画は、2000年の運輸政策審議会の答申や2016年の交通政策審議会の答申にも盛り込まれています。東京駅から新宿を経由し、三鷹まで地下で延伸、中央線との相互直通運転を目指していますが、実現にはまだ多くの課題が残されています。

京葉線ホームの場所が遠い理由には、このような歴史的背景と将来への展望が隠されていました。遠い道のりも、歴史を知ると少し違った景色に見えるかもしれません。