伊澤タオル、パワハラ疑惑で調査委員会設置 東証上場直後の企業に波紋

タオル業界で急成長を遂げ、東証スタンダード市場へ新規上場を果たしたばかりの伊澤タオル(代表取締役社長:伊澤正司)が、週刊文春電子版の報道を受けて社内調査委員会の設置を表明しました。同社は「関係者の皆様にはご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。このパワハラ疑惑報道は、上場したばかりの企業に大きな波紋を広げています。

急成長企業「伊澤タオル」の躍進と上場

伊澤タオルは近年、セブンプレミアム「極ふわタオル」やローソン「やわらかロングタオル」、アマゾンで高い人気を誇る「タオル研究所」など、数々のヒット商品を連発し、タオル業界に新たな旋風を巻き起こしてきました。特に「タオル研究所」は累計販売数2000万枚を突破し、アマゾンの売れ筋ランキングでトップを独占するなど、その開発力と市場戦略は注目を集めています。

同社は今治タオルに代表される高級贈答品路線とは一線を画し、日用品タオルの開発・製造に特化。大手スーパーやコンビニエンスストア、EC事業者向けのプライベートブランド製品(OEM)を多数手掛けることで、2025年2月期には売上高98億円を計上し、15年間で約12倍という驚異的な成長を達成しました。そして2025年6月20日、満を持して東京証券取引所スタンダード市場への新規上場を果たしたばかりでした。

伊澤タオルが新規上場を果たした東京証券取引所のロゴと建物。同社は6月に東証スタンダード市場へ上場した。伊澤タオルが新規上場を果たした東京証券取引所のロゴと建物。同社は6月に東証スタンダード市場へ上場した。

社長による「怒号朝礼」と労働基準法違反の疑い

そんな成長著しい伊澤タオルに浮上したのが、伊澤正司社長(60)によるパワハラ疑惑です。「週刊文春」の報道によると、社内では社長の「許さへんよこれ、なんやねんコレェー!」といった怒号が日常的に響き渡っていたといいます。週刊文春が入手したとされる数年前の朝礼音声には、伊澤社長が社員に対し「ふざけるのもええ加減にせえよ。お前ら、お遊戯やってんのかココ!」「達成の見込みつくまで、朝礼終わらんよ。5時間でも6時間でもやるよ。ボケェ、お前、アホか」といった威圧的な発言が記録されています。

さらに、「クソやんけ! クソ。クソ甚だしいというか、失礼やね、意味わからんやんけ、それ。アホみたいなことばっかりしとって」といった暴言も確認されており、社内における高圧的な言動の実態が浮き彫りになっています。伊澤社長は「当然、こちらとしてはそういう認識はないんですけども。昨今の報道を聞いていると、やっぱりもう、受ける方の感じ方って言いますよね」と回答していますが、これだけにとどまらず、社内では労働基準法違反が疑われるより深刻な事態も発生していたと報じられています。

調査委員会設置と今後の動向

伊澤タオルは2025年7月14日、この報道を受けて同社ウェブサイトで「一部報道について」と題したリリースを発表しました。リリースでは、「2025年7月11日(金)に週刊文春電子版において掲載されました弊社代表取締役に関するパワーハラスメント疑惑報道につきまして」言及し、「今回の報道により、弊社関係者の皆様にはご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」と公式に謝罪しました。

そして、事実関係の調査と原因究明、再発防止策の策定を目的として、外部の専門家を含めた調査委員会を設置することを表明しました。上場企業としての透明性とガバナンスが問われる中、今後の調査の進捗と結果が注目されます。週刊文春電子版では、この“パワハラ朝礼”の音声や元社員による詳細な告発、伊澤社長への直撃取材の回答などがさらに詳しく報じられています。

参考文献

  • 週刊文春 電子版
  • 伊澤タオル公式ウェブサイト (2025年7月14日付「一部報道について」)