2025年の日本経済は、内需主導の自律的な成長を遂げられるのか?その鍵を握るのは「賃上げの加速」です。物価高騰の長期化が家計を圧迫する中、実質賃金の早期のプラス定着が不可欠となっています。本記事では、2025年の日本経済の展望と課題、そして賃上げ加速の重要性について解説します。
賃上げ加速なくして景気回復なし?物価高騰に苦しむ家計の実態
2024年末、東京・上野のアメ横商店街は年の瀬の買い物客で賑わっていました。しかし、おせち料理の食材を手にした70代主婦は「生産者の苦労は理解できるが、年金生活者にとって物価高は辛い」とため息を漏らします。帝国データバンクによると、2025年正月のおせち料理(三段重)の平均価格は2万7826円で、3年前と比べて10.5%も上昇しています。
アメ横商店街で買い物をする人々
2024年は、物価高騰が家計を直撃した一年でした。11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、32ヶ月連続で前年同月比2%以上の上昇を記録。特に「令和の米騒動」の影響を受けた米類は、63.6%と過去最大の伸び率となりました。
2025年春闘の行方:実質賃金のプラス定着は実現するか?
2024年春闘では、平均賃上げ率が5.10%と33年ぶりの高水準を記録しました。しかし、物価上昇の勢いに賃上げが追いつかず、一時的にプラス転換した実質賃金は再びマイナス圏に転落。家計の節約志向は強まり、消費現場からは「買い上げ点数の回復が見られない」(日本チェーンストア協会)との声が上がっています。
明治安田総合研究所は、2025年春闘の賃上げ率を5.0%と前年並みと予想。中小企業の「防衛的賃上げ」の持続性に疑問符がつく中、「大企業による更なる賃上げ幅の拡大が不可欠」(小玉祐一フェローチーフエコノミスト)と指摘しています。
海外経済の動向:トランプ次期大統領の政策が日本経済に与える影響
2025年1月20日に就任するトランプ次期米大統領の経済政策も、日本経済に大きな影響を与える可能性があります。トランプ氏は、中国製品への追加関税や、カナダ・メキシコ製品への関税適用を表明。大和総研は、これらの高関税政策と報復関税によって、日本の実質GDPが最大1.4%程度押し下げられる可能性があると試算しています。
今後の日本経済は、賃上げ加速による個人消費の拡大、そして海外経済の動向に大きく左右されるでしょう。企業の積極的な賃上げと政府の適切な経済政策が、持続的な経済成長を実現するための重要な要素となるはずです。