百貨店の初売りといえば、正月の風物詩。福袋を求めて長蛇の列ができる光景は、もはや日本の伝統行事の一つと言えるでしょう。しかし近年、その風景に変化が訪れています。ライフスタイルの変化や働き方改革の流れを受け、三が日を休業とする百貨店が増えているのです。今回は、変わりゆく百貨店の正月事情について詳しく見ていきましょう。
働き方改革を重視する百貨店が増加
従業員のワークライフバランスを重視し、三が日を休業とする百貨店が増えています。阪急阪神百貨店は、2025年の初売りを従来の2日から3日に変更。取引先を含めた従業員の働き方改善に加え、人材確保のための職場環境の向上を目指しています。
阪急うめだ本店
「社員がしっかりと休暇を取得し、リフレッシュすることで、お客様により良いサービスを提供できると考えています」と阪神梅田本店の広報担当者は語ります。阪急うめだ本店や大丸梅田店も3日に営業を開始しました。
三が日休業の百貨店も
さらに、三が日を完全に休業とする百貨店も現れています。若者向けファッションビル「マルイ・モディ」を運営する丸井グループは、2023年から1月1日~3日を休業とする取り組みを開始。新宿マルイ、なんばマルイなど主要店舗は4日から営業しています。
丸井グループは、1988年以来35年ぶりの三が日休業となりました。消費者の購買スタイルの多様化や、従業員の働き方改革への意識の高まりが背景にあるとされています。「正月に大切な人とゆっくりと過ごす人が増えている現代において、多様なニーズに応えることが重要です」と、丸井グループの担当者は説明しています。
各百貨店の対応は様々
一方、すべての百貨店が三が日休業となっているわけではありません。そごう・西武は、西武池袋本店、西武渋谷店など一部店舗で元日営業を取りやめましたが、そごう横浜店、西武福井店など一部店舗では従来通り元日から営業を行いました。顧客ニーズの多様化に対応するため、各社がそれぞれの戦略で正月営業を行っていると言えるでしょう。
変わる正月のショッピング
消費者のライフスタイルの変化や働き方改革の進展により、百貨店の正月風景は変わりつつあります。初売りの日程変更や三が日休業など、各社は様々な取り組みを通して、顧客と従業員の双方にとってより良い環境づくりを目指しています。今後の百貨店の動向に注目が集まります。