仕事や人生における大きな転機、それは「チャンス」と呼ばれます。多くの成功者がその重要性を語り、デヴィ夫人やタモリ、吉岡秀人といった著名人の言葉にも「チャンス」に関する洞察が豊富に見られます。しかし、チャンスとは一体、どのように訪れ、どうすれば掴むことができるのでしょうか。実は、チャンスは私たちが探し求めるものではなく、「日々の地道な姿勢」を通じて向こうからやってくるものなのです。本記事では、マーケターである大嶋慶氏が提唱する「一流の『巻き込まれ力』」という視点から、いかにして信頼を築き、結果的にチャンスを引き寄せるかを探ります。
チャンスは「探す」ものではなく「やってくる」もの
私たちはしばしば、「この仕事はチャンスになる」「このプロジェクトを掴めば成功できる」といった考えで、チャンスを積極的に探し求めようとします。しかし、これはチャンスの本質を履き違えているかもしれません。多くのサクセスストーリーにあるように、チャンスは思いもかけず、ある日突然、誰にでも訪れるものです。例えば、事業に失敗した青年が、偶然助けたおばあさんが大富豪で、その援助によって成功を収めたという話は象徴的です。
この青年は、「チャンスを掴もう」と思っておばあさんを助けたわけではないでしょう。おそらく、彼は日頃から困っている人を見れば放っておけず、常に誰かを助けていたのではないでしょうか。その「いつでも誰かを助ける」という地道な姿勢が、たまたま大富豪との出会いという大きなチャンスを引き寄せたのです。
地道な準備がチャンスを見逃さない秘訣
チャンスが「いつやってくるかわからない」からこそ、最も重要なのは「地道な準備」にほかなりません。先述の有名人たちの言葉も、チャンスの本質が日々の努力や準備にあることを示唆しています。「これくらいの力がついたらこの仕事をしよう」と自分の能力を過小評価するのではなく、実力以上の仕事が来た時でも臆することなく挑戦する姿勢、そしてチャンスが来るために日々の努力を積み重ねる意識が求められます。
その「地道な準備」の一つが、まさに「巻き込まれる」ことです。
仕事を選ばず、信頼を築く「巻き込まれる」姿勢
「巻き込まれる」とは、文字通り「頼まれごとをされる」という状況を指します。そこには、「仕事を選ぶ」という発想は存在しません。自分の専門分野か否か、好きか嫌いかに関わらず、頼まれたことを引き受け、誠実に対応する。この「巻き込まれる」姿勢を貫くことで、周囲からの評価と信頼が自然と自分のもとに集まってきます。そして、その評価と信頼こそが、最終的に大きなチャンスを運んできてくれるのです。
ギャグ漫画の巨匠として知られる赤塚不二夫さんのデビューが少女漫画であったことは、この「巻き込まれ力」の良い例です。当時「ギャグ漫画」というジャンルがなかったため、依頼されるのは少女漫画ばかり。しかし、彼は依頼された仕事を選ばず、一つ一つに真摯に取り組むことで、後の成功への道を切り開いたのです。
SANKEIによる写真
結論:日々の誠実な姿勢が未来を拓く
チャンスは、私たちが必死に追いかけるものではなく、日々の地道な努力と、あらゆる仕事に誠実に向き合う「巻き込まれ力」によって、自然と引き寄せられるものです。目の前の小さな頼まれごとを疎かにせず、常に最善を尽くす姿勢が、やがて大きな信頼となり、思いがけない扉を開く鍵となります。一流のプロフェッショナルは皆、この「巻き込まれ力」を無意識のうちに実践し、自らのキャリアを築き上げてきたと言えるでしょう。
参考文献
- 大嶋 慶 著『できる20代は知っている 一流の「巻き込まれ力」』(三笠書房)





