「口唇口蓋裂」とその合併症等によって鼻と唇、耳がなく、心臓に3つ穴が開いた状態で生まれた小林えみかさん(31)。これまでに20回以上手術を受け、現在は口唇口蓋裂の当事者・家族支援を行うNPO法人の代表を務める。
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日本に口唇口蓋裂の患者は500人に1人いるとされ、決して珍しい病気ではないが、いまだに差別や偏見もあるという。そんな社会を変えたいと活動する小林さんに、“見た目”や治療に苦しんだ半生について聞いた。(全4回の1回目/ 続き を読む)
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私が生まれた瞬間、分娩室がシーンとなって
――これまでに20回以上手術をしてきたそうですが、今も治療を継続されている?
小林えみかさん(以下、小林) 手術自体は2021年が最後で、それ以降はしてないですね。
――直近の手術ではどんな治療を?
小林 鼻下の傷跡を取ったり、鼻のバランスを整えるような、美容整形に近い修正手術をやりました。
主治医からは、「もう一回修正手術をやってもいいのでは?」と提案をもらっているので、今後どうしようかな、と考えているところですね。
――「修正手術」とは?
小林 私は口唇口蓋裂の治療のゴールを、「歯が見える笑顔」と自分の中で決めていて。というのも、どうやっても上唇で隠れてしまって、笑っても歯が見えないんですね。
なので、唇の裏側、つまり粘膜側を切り取って歯が見えるようにしたいですし、鼻のバランスも気になるし。あと、鼻の通りも悪くて鼻水が出やすいし、発音に影響しているところもあって、追々、いろいろ相談しながら決められたらなと思っています。
――口唇口蓋裂とは、「唇・上顎などが割れた状態で生まれる先天性の病気」ということですが、小林さんの口唇口蓋裂がわかったタイミングも出産時?
小林 そうです。妊娠中にエコーはやってたそうですが、30年前のエコーって砂嵐みたいな感じで、輪郭も分からない感じやったのと、エコーで見た時はたまたま横を向いていたり手で口を隠していたりして分からなかった、とも聞きました。
――出産してはじめて、ご両親も主治医も小林さんの状態を知ったと。
小林 母がよく言ってるんですけど、分娩室って、「もうすぐ産まれるよ。頑張ってね」っていう華やかなムードで、自分もしんどいながらやっと赤ちゃんに会えると思って、最後にいきんで。
なのに、私が生まれた瞬間、分娩室がシーンとなったらしいんです。で、「この状態、誰が言う?」みたいなただならぬ雰囲気だったらしく。






