韓国の出生数、9年ぶりに増加!でも人口減少は続く…高齢化社会の課題に迫る

韓国では、2024年の出生数が9年ぶりに増加に転じたという明るいニュースが飛び込んできました。しかし、全体の人口は依然として減少傾向にあり、高齢化社会の課題が浮き彫りになっています。今回は、韓国行政安全部が発表した住民登録人口統計をもとに、韓国の人口動態の現状と課題について詳しく見ていきましょう。

出生数は増加も、人口減少の歯止めにはならず

2024年の出生数は24万9,334人で、前年比3.10%の増加となりました。これは実に9年ぶりの増加で、明るい兆しと言えるでしょう。しかし、死亡者数が出生数を上回っているため、全体の人口は5,121万7,221人と、5年連続で減少しています。少子高齢化の波は、韓国社会にも大きな影を落としているのです。

韓国の少子高齢化を表すグラフ韓国の少子高齢化を表すグラフ

男女間の格差も拡大傾向に

女性人口は男性人口を22万573人上回っており、この男女間の格差は年々拡大しています。2015年には1万2,966人だった格差が、2020年には14万6,965人、2023年には19万3,857人と、増加の一途を辿っています。この背景には、女性の社会進出が進み、結婚や出産を控える女性が増えていることなどが考えられます。

高齢化社会の深刻化:60代人口が40代を逆転

韓国の平均年齢は45.3歳となり、前年より0.5歳上昇しました。年齢層別に見ると、50代が最も多く17.00%を占めています。注目すべきは、60代人口の割合が15.27%となり、40代の15.08%を上回ったことです。さらに、70代以上の割合も12.94%となり、30代の12.93%をわずかに上回っています。これらの数字は、韓国社会の高齢化が急速に進んでいることを示しています。

高齢者の集まる公園の様子高齢者の集まる公園の様子

生産年齢人口の減少が経済に及ぼす影響

0~14歳の幼少年人口は減少傾向にあり、15~64歳の生産年齢人口も前年比1.21%減少しました。一方で、65歳以上の高齢者人口は5.41%増加しています。生産年齢人口の減少は、経済の停滞や社会保障制度の維持に大きな影響を与える可能性があります。

首都圏への人口集中と地方の過疎化

韓国の人口の半分以上にあたる50.86%が首都圏に集中しており、地方の過疎化が深刻な問題となっています。2024年には首都圏の人口はわずかに増加したものの、地方の人口は減少しました。地方の活性化は、韓国社会が抱える大きな課題と言えるでしょう。

ソウル市内の人混みの様子ソウル市内の人混みの様子

政府の取り組みと今後の展望

韓国政府は、出生率の低下と高齢化への対策として、子育て支援や地方創生など様々な政策を推進しています。行政安全部のキム・ミンジェ次官補は、「9年ぶりの出生数増加は肯定的な変化の兆しだ。出生数の反転傾向を持続できるよう、関係官庁と協力して養育環境の改善と支援策をまとめたい」と述べています。

韓国の人口動態は、複雑な課題を抱えています。出生数の増加は明るいニュースですが、人口減少と高齢化の傾向は依然として続いています。今後の韓国社会の持続可能性のためには、政府、企業、そして国民一人ひとりが協力して、これらの課題に取り組んでいく必要があるでしょう。