婚約者が運転する車での交通事故により下半身まひとなった女性が、事故からわずか3カ月後にその婚約者に見捨てられたことが明らかになり、インターネット上で大きな怒りを買っています。この悲劇的な出来事は、婚約関係における責任と道徳的な問題に深く切り込むもので、多くの人々に衝撃を与えています。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が17日に報じたところによると、来年結婚を控えていたペクさんと交際相手のチャンさんは、今年4月5日に家族旅行中、自動車事故に遭遇しました。警察の調べでは、運転していたのはチャンさんで、ペクさんは助手席に乗っていました。チャンさんが右折する際に誤って対向車線に進入し、トラックと衝突したとされています。警察は、チャンさんが交通法規に違反して対向車線に入ったため、事故の一次的な責任は彼にあると判断しました。
交通事故で下半身まひとなった女性と婚約者、そして責任問題を象徴するイラスト
事故の経緯と婚約者の無責任な対応
この悲惨な交通事故により、チャンさんとその家族は軽傷で済んだ一方で、ペクさんは脊髄を損傷し、下半身まひという重い障害を負うことになりました。事故後、チャンさんとその家族は病院に入院中のペクさんのもとを訪れ、結婚生活や経済的支援、そして彼女の身の回りの世話を続けることを約束していました。しかし、その約束は長くは続きませんでした。6月末になると、チャンさんとその家族は突如として連絡を絶ち、姿を消してしまいました。これにより、ペクさんへの経済的な支援も完全に途絶え、彼女は絶望的な状況に置かれました。
治療費と法的措置への模索
ペクさんは自身の貯金が底をつき、農業を営む両親も収入が安定しないため、長期的な治療費の支援が困難な状況にあります。彼女は治療を継続するために必要な資金を確保すべく、法的措置を検討しています。初期の治療費は約30万元(約620万円)に上り、そのうちチャンさんの家族が10万元以上を支援したとされています。しかし、今後さらに30万~40万元の手術費用が必要になると見込まれており、この経済的負担はペクさんにとって計り知れないものです。
中国現地の弁護士は、この件について「事故に対する一次的な責任がチャンさんにあるため、ペクさんに補償を提供する義務がある」との見解を示しています。さらに、「仮にチャンさんが姿を消したとしても、ペクさんは彼を主要な被告人とすることができ、資産調査を通じて損害賠償の執行を進めることが可能だ」と説明しており、法的な解決の道があることを示唆しています。
婚約者の裏切りが問いかけるもの
今回の事例は、交通事故の責任問題だけでなく、人間関係における信頼と道義的な責任の重さを改めて浮き彫りにしました。下半身まひという深刻な状況に陥った婚約者を見捨てた行為は、中国のネットユーザーの間で激しい非難を浴びています。ペクさんの今後のリハビリと治療、そして公正な補償が速やかに得られるよう、社会的な関心が集まっています。
参照元:
- NEWSIS
- サウスチャイナ・モーニング・ポスト (SCMP)