ユニクロやGUを展開するファーストリテイリングが、2025年3月、再び国内従業員の賃金を引き上げます。グローバル競争激化の中、優秀な人材確保と成長力強化を目的とした今回の賃上げは、小売業界の常識を覆す大胆な戦略と言えるでしょう。
グローバル水準を目指す、新卒初任給33万円!
今回の賃上げで最も注目すべき点は、新卒初任給の大幅アップです。現行の30万円から33万円に引き上げられ、年収換算では500万円を超える水準となります。新人店長も年収約730万円と、大手都市銀行を凌駕する金額です。
ユニクロの店舗
高額報酬の背景にある、柳井正会長の強い意志
柳井正会長は、「グローバル水準の少数精鋭組織への変革」を掲げ、世界で活躍できる人材の育成に力を入れています。今回の賃上げも、その一環と言えるでしょう。「成長と賃上げの好循環」を推進し、パート・アルバイトから経営者まで、全員が成長できる組織作りを目指しています。
2度目の大幅賃上げ、生産性向上への期待
ファーストリテイリングは2023年にも、全従業員の報酬を4~40%引き上げています。今回の賃上げは、それに続く2度目の大規模な改定です。「世界水準で仕事をする人材確保」と「能力と意欲のある従業員への報奨」を目的としており、生産性向上への期待も込められています。
新報酬体系で最大54%アップも!
新たな報酬体系では、個人の能力や意欲を評価し、最大で54%の賃上げも可能になります。一律の賃上げではなく、個人の貢献度に応じた報酬体系を導入することで、従業員のモチベーション向上と更なる成長を促す狙いです。
ユニクロの服
パート・アルバイトの時給も大幅アップ!キャリアパスも拡充
パート・アルバイトの時給も、地域ごとの相場を考慮し、最大1700円に引き上げられました。また、店長と同水準の処遇を目指せる新しいキャリアパスも導入され、販売員のキャリアアップの機会も広がっています。
小売業界の未来を担う、先進的な取り組み
ファーストリテイリングの賃上げ戦略は、人材への投資を重視する企業姿勢の表れです。小売業界全体の人材不足が深刻化する中、今回の賃上げは、他企業にも大きな影響を与える可能性があります。業界全体の底上げにつながり、より魅力的な職場環境が実現することを期待したいです。 例として、ファッション業界に特化した人材紹介会社「ファッションHRコンサルティング」の山田一郎代表(仮名)は、「ファーストリテイリングの積極的な賃上げは、他企業の追随を促し、業界全体の活性化につながるでしょう」と述べています。