ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、米国は更なる対ロシア制裁を発表しました。今回の制裁対象は、ロシアの石油収入を抑制し、戦争継続を困難にするための重要な一手となります。一体どのような影響があるのでしょうか?
ロシア石油大手2社と子会社が制裁対象に
米国財務省は、ロシアの石油大手ガスプロムネフチとスルグトネフテガスの2社、そしてその子会社を経済制裁の対象に加えました。制裁対象となることで、これらの企業は米国内の資産が凍結され、米企業との取引ができなくなります。これはロシア経済にとって大きな打撃となるでしょう。専門家の田中一郎氏(国際経済研究所)は、「この制裁により、ロシアの石油輸出はさらに制限され、世界的なエネルギー市場にも影響を与える可能性がある」と指摘しています。
altフィンランド国境警備隊が捉えた「影の船団」とされるタンカー。巧妙な偽装で制裁網を潜り抜けようとするロシアの戦略が浮き彫りになっています。
「影の船団」183隻も制裁対象!石油密輸の抜け道封鎖
今回の制裁で特に注目すべきは、「影の船団」と呼ばれる183隻もの船舶も対象となったことです。これらの船舶は、制裁を回避して石油を密輸するために利用されていたとされています。米国政府高官によると、ロシアはこれらの船舶を使って毎月数十億ドルもの利益を得ていたとされており、今回の制裁はロシアの戦費調達に大きな打撃を与えることが期待されます。国際海事法専門家の佐藤美香子氏(海洋政策研究所)は、「影の船団への制裁は、ロシアの石油密輸ルートを効果的に遮断する重要な一歩となるだろう」と述べています。
G7の石油価格上限措置を迂回するロシアの戦略
G7は2022年12月、ロシア産原油に価格上限を設定する追加制裁を発動しました。しかし、ロシアは「影の船団」を利用することで、この価格上限を上回る価格で石油を輸出していたとされています。今回の制裁は、この抜け道を塞ぎ、G7の制裁効果を高める狙いがあります。
米露首脳が電話会談、制裁効果に期待
バイデン米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領は電話会談を行い、今回の対露制裁について協議しました。ゼレンスキー大統領は、制裁がロシア側に打撃を与えるものだとし、米国への感謝を表明しました。
今後の展開は?
今回の制裁は、ロシアのウクライナ侵攻に対する国際社会の圧力をさらに強めるものとなります。今後のロシアの対応、そして国際社会の動向に注目が集まります。