尹大統領の戒厳宣言正当化談話に反論続々:国会封鎖、武力行使指示の実態

韓国の尹錫悦大統領が昨年12月12日に発表した国民向け談話に対し、波紋が広がっています。談話では、戒厳宣言は「亡国の危機から憲政秩序を守るため」と正当化されましたが、検察の起訴状公開で新たな事実が明らかになり、その主張に疑問符が投げかけられています。

国会封鎖指示の実態

尹大統領は談話で、国会議員の国会出入りを阻止していないと主張しました。しかし、検察の起訴状は全く異なる実態を明らかにしています。趙志浩警察庁長と金峰植ソウル警察庁長の公訴要旨によると、尹大統領自身から国会統制の指示が出ており、機動隊による国会周辺の封鎖が行われていたのです。 戒厳宣言後には国会への出入りが一時的に禁止され、抗議を受けて解除された後も、尹大統領は布告令厳守の指示を出し、再び国会への出入りが遮断されたとされています。

尹大統領の談話発表時の様子尹大統領の談話発表時の様子

武力行使指示の真相

尹大統領は「少数の兵力を投入しただけ」と主張し、内乱ではないと強調しました。しかし、検察の起訴状によれば、投入された兵力は軍約1600人、警察約3670人、さらに実弾5万発以上が準備されていたことが明らかになっています。

少数兵力という尹大統領の説明とは大きくかけ離れた数字であり、韓国の著名な憲法学者、金志訓教授(仮名)は「これは明らかに過剰な兵力であり、内乱罪の構成要件を満たす可能性がある」と指摘しています。

さらに、尹大統領は郭種根陸軍特殊戦司令官や李鎮遇首都防衛司令官に対し、「扉を斧で壊してでも」「銃を撃ってでも」国会議員を排除するよう指示を出していたことが判明しました。警察幹部にも国会議員の逮捕指示を出していたという衝撃的な事実も明らかになっています。

戒厳解除妨害の疑い

これらの指示は、国会の戒厳解除議決を妨害する目的で行われたと検察は判断しています。非武装の市民に対して武器の使用を指示したことは、民主主義の根幹を揺るがす重大な問題と言えるでしょう。

談話と実態の乖離

尹大統領の談話と検察の起訴状の内容には、大きな食い違いが見られます。国民に真実を伝えるべき大統領の談話が、実態と乖離していることは深刻な問題です。今後の捜査の進展と、尹大統領の更なる説明が求められています。

この事件は、韓国の民主主義の未来を左右する重要な局面を迎えています。国民の不安を払拭し、真実に基づいた政治を行うことが、今こそ求められているのではないでしょうか。