野菜の価格高騰が止まらず、家計への負担が深刻化しています。昨年夏の猛暑や記録的な少雨の影響で生育が遅れ、キャベツや白菜などの葉物野菜を中心に価格が上昇。長野県内ではキャベツ1玉500円超、白菜半玉400円に迫る店も出ており、消費者の節約志向が一層強まっています。
長野県茅野市のスーパーで半玉販売される白菜
スーパーの苦悩:利益なき販売戦略
茅野市のスーパー「ビッグ1茅野横内店」では、白菜を半玉378円で販売。これは例年の2倍ほどの価格です。運営会社のタケダストアー担当者は、「仕入れ値の高騰で利益は出ないが、欠かせない商品」と苦悩を明かしています。客足は前年比1割減にとどまっているものの、70代主婦は「値上がりしていない野菜を選んで献立を考える。鍋料理も減りそう」と語っています。
消費者の悲鳴:工夫と我慢の食卓
松本市のスーパーでは、キャベツ1玉409円。年金暮らしの酒井裕子さん(72)は「安い時の4倍くらい。今日は諦めようかな」とため息。値引き品やカット野菜を中心に購入し、「食材は使えるところを全部使うしかない」と工夫を凝らしています。また、別の主婦は野菜の代わりに肉の消費量が増えたと嘆いています。
販売店の努力:限界に達する自助努力
長野市の「ファーム大沢屋長野店」では、キャベツ1玉349円、大根1本299円。店長は「これ以上値上げしたら申し訳ない」と語り、農家からの直接仕入れなどで努力しているものの、限界を感じていると明かしました。
キャベツや大根など、値札を見る消費者の姿
高齢者の嘆き:諦めざるを得ない現実
同市内の75歳女性は、キャベツを手に「高い…」と呟きました。行きつけの八百屋では1玉600円。光熱費の高騰も重なり、レタスや大根、白菜の購入は諦めたといいます。「みんな努力している。我慢の冬です」と厳しい現実を語りました。
卸売市場の現状:軒並み高騰する卸値
青果卸売業者R&Cながの青果によると、秋冬収穫野菜の卸値は軒並み高騰。キャベツは例年1月平均120~150円のところ、400~500円。白菜も例年100円以下が250円近く、レタスは通常200円程度が400円に迫っています。野菜価格の高騰は、家計だけでなく、生産者、販売店、そして消費者まで、様々な立場の人々に影響を与えている深刻な問題となっています。