日本の電気自動車(EV)市場に、中国のBYDと韓国の現代自動車が攻勢を仕掛けています。1月10日、千葉市の幕張メッセで開幕したカスタムカーの祭典「東京オートサロン」で、両社は日本市場向けの新車を発表し、注目を集めました。本記事では、両社の戦略と日本市場への影響について詳しく解説します。
BYD、SUV「シーライオン7」で顧客層拡大へ
BYD日本法人の東福寺厚樹社長
BYDは、2023年6月に日本で発売開始したEVセダン「シール」のSUV版である「シーライオン7」を今春投入すると発表しました。BYD日本法人の東福寺厚樹社長は、シールによって「コスパが良い」だけでなく「カッコいい」というイメージも定着したと語り、シーライオン7で更なる顧客層の拡大を狙うと述べています。具体的な価格やスペックは後日発表予定です。
現代自動車、軽EV対抗馬「インスター」を投入
現代自動車は、軽自動車並みのコンパクトさと小回りの良さを特徴とする小型EV「インスター」を発表し、同日から予約販売を開始しました。価格は284万9千円から。日本法人の七五三木敏幸社長は、欧州仕様車で370kmの航続距離を実現しているインスターが、日本でも「驚きの航続距離」を提供するとアピール。充電の不安を払拭し、日常使いに最適なEVとして提案しています。
日本市場はEV普及の大きなチャンス
現代自動車の小型EV「インスター」
日本の新車市場では、価格や充電インフラの課題からEVの普及は進んでいません。しかし、七五三木氏は日本市場に大きなチャンスがあると見ており、インスターによって市場シェア獲得を目指すと意欲を示しました。300万円を切る価格設定と軽自動車並みのサイズは、日産の軽EV「サクラ」が切り開いた需要層をターゲットにしていると考えられます。自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「手頃な価格と使い勝手の良さを兼ね備えたインスターは、日本のEV市場に新たな風を吹き込む可能性がある」と分析しています。
東京オートサロンでの戦略
東京オートサロンは、改造車やスポーツカーが集まる車好きの祭典です。トヨタやホンダ、日産などの国内メーカーは、レーシングカーやスポーツカーを中心に出展しています。そんな中、BYDと現代自動車はあえて市販EVを披露することで、日本メーカーとの差別化を図り、新たな顧客獲得を狙っていると言えるでしょう。 この戦略は、EVに興味を持つ層だけでなく、ガソリン車ユーザーにもアピールする可能性を秘めています。
まとめ
BYDと現代自動車は、それぞれ異なる特徴を持つ新型EVを投入し、日本市場への本格参入を表明しました。手頃な価格と実用性を兼ね備えたこれらのEVは、日本のEV市場に大きな変化をもたらす可能性があります。今後、日本メーカーがどのように対抗していくのか、注目が集まります。