回転寿司業界は、資源高や円安、人手不足など、多くの課題に直面しています。しかし、そんな中でもスシローは目覚ましい成長を遂げ、業界トップの地位を確固たるものにしています。今回は、スシローの成功の秘訣を紐解き、その躍進の理由を徹底分析します。
グローバル戦略で海外市場を席巻
スシローの成功の大きな要因の一つは、積極的な海外展開です。台湾や香港では長蛇の列ができるほどの人気ぶりで、国内の2倍の売り上げを記録する店舗もあるほど。現在、海外店舗数は約180店舗に達し、全体の売上高の約2.5割を占めています。さらに、中国への出店を加速させ、200店舗を目指す計画も発表しています。山本雅啓社長も「グローバルでスシロー事業へ資源を集中する」と明言しており、今後の海外展開への期待はますます高まっています。フードビジネスコンサルタントの永田雅乙氏も「国内市場が頭打ちの中、海外戦略こそが成長のカギ」と指摘しています。
スシローの海外店舗の様子
原点回帰と革新的な取り組み
スシローのもう一つの強みは、「回転寿司の原点回帰」と「革新的な取り組み」の両立です。期間限定で「一皿100円」を実現するなど、かつての回転寿司の魅力を取り戻しつつ、寿司が流れる様子を映し出す大型デジタルビジョン「デジロー」を導入するなど、新たな顧客体験を提供しています。
スシローの「デジロー」
これらの施策は顧客満足度向上に繋がり、客単価の増加にも貢献しています。回転寿司業界の競争が激化する中、スシローは独自の戦略で他社との差別化を図り、確固たる地位を築いています。例えば、業界2位のくら寿司は積極的な海外展開を行っているものの、2025年の業績予想では2桁の営業減益を見込んでおり、スシローとの差は広がりつつあります。永田氏も「スシローは顧客のニーズを的確に捉え、進化を続けている」と高く評価しています。 有名料理研究家の佐藤美香さんも「デジローのようなエンターテイメント性を取り入れることで、家族連れや若い世代の来店を促進する効果も期待できる」と語っています。
今後の展望
スシローは、海外展開の加速、原点回帰と革新的な取り組み、顧客満足度の向上という3つの柱を軸に、さらなる成長を目指しています。回転寿司業界の未来を担う企業として、スシローの今後の動向に注目が集まります。