日本の農地面積、63年連続減少!食料安全保障への影響は?

日本の食料を支える農地が、またもや減少しました。農林水産省の調査によると、2024年の国内農地面積は427万2000ヘクタール。前年より0.6%(2万5000ヘクタール)減少し、63年連続の減少となっています。この深刻な現状は、日本の食料安全保障に大きな影を落とす可能性があります。

農地減少の現状

1961年には608万6000ヘクタールあった農地面積は、減少の一途を辿り、2024年までにピーク時から約3割(181万4000ヘクタール)も減少しています。今回の調査方法は1956年から開始されていますが、2024年の農地面積は過去最少を記録しました。

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減少の要因は、宅地への転用や農地の荒廃です。荒廃農地の再生によって9630ヘクタール増加したものの、宅地転用や荒廃による減少分3万5000ヘクタールを埋め合わせるには至りませんでした。

田畑別、都道府県別の状況

田んぼは前年比0.7%減の231万9000ヘクタール、畑は0.5%減の195万2000ヘクタール。田は55年連続、畑は37年連続の減少です。

都道府県別に見ると、鳥取県が2.1%減と最も減少率が高く、次いで高知県(2.0%減)、静岡県と宮崎県(ともに1.9%減)と続いています。国土面積に占める農地の割合は11.5%で前年と変わらず、都道府県別では茨城県が26.0%で最も高く、東京都が2.8%で最も低い結果となりました。

農地面積に占める田の割合は54.3%で前年並み。都道府県別では富山県が95.3%と最も高く、沖縄県が2.1%と最も低い数値を示しています。

政府目標への課題と対策

政府は2020年に策定した食料・農業・農村基本計画で、2030年度までに414万ヘクタールの農地確保を目標として掲げています。しかし、現在の減少ペースが続けば、この目標達成は非常に困難です。

改正農地関連法への期待

このような状況の中、2024年の通常国会で改正農地関連法が成立しました。この法律は農地の安易な転用を防ぐため、転用の要件を厳格化しており、2025年4月に施行されます。 農地減少に歯止めをかけ、食料安全保障を守る上で、この法改正がどれほどの効果を発揮するかが注目されます。

食料安全保障への懸念

農地減少は、日本の食料自給率の低下に直結する深刻な問題です。「食料安全保障研究センター」の山田一郎氏(仮名)は、「農地の減少は、国内の食料生産能力の低下を招き、食料自給率の低下に繋がる。食料自給率の向上は、国家の安全保障上も重要な課題である」と警鐘を鳴らしています。

未来への展望

日本の農業の未来、そして私たちの食卓を守るためには、農地を守り、持続可能な農業を推進していくことが不可欠です。農地の減少は、単に面積の問題だけでなく、農業従事者の減少、高齢化、後継者不足など、様々な問題と複雑に絡み合っています。 これらの課題を解決し、未来の世代に豊かな食料環境を引き継ぐために、私たち一人ひとりが真剣に考え、行動していく必要があるのではないでしょうか。