ロサンゼルス近郊で発生した山火事は、発生から1週間以上が経過した今もなお鎮火の目処が立っていません。新たな火の手も上がり、深刻な大気汚染や水道水の汚染など、二次被害も拡大しています。住民の健康への影響も懸念され、予断を許さない状況が続いています。
ロサンゼルス山火事、更なる延焼の危機
カリフォルニア州で発生したこの大規模山火事。懸命な消火活動が続けられていますが、11月13日にはロサンゼルスの隣、ベンチュラ郡で新たな火災が発生しました。現在、5箇所で火災が続いており、現地は依然として火災の危険に晒されています。
ロサンゼルス市長のカレン・バス氏は、「国立気象局によると、ハリケーン級の強風が予測されているため、緊急態勢を整えている」と述べ、更なる延焼への警戒を強めています。カリフォルニア州南部では強風に見舞われる可能性が高く、火災の危険性がさらに高まると国立気象局は発表しています。
ロサンゼルス山火事の現場
深刻化する大気汚染と健康被害
この山火事による二次被害の中でも特に深刻なのが、大気汚染です。山火事で発生した大量の煙により、多くの地域で大気汚染警報が発令されています。
住民からは、「目がヒリヒリして、喉の痛みや咳もあります。友人は鼻血が出たそうです。マスクを着けたまま寝ています」といった声や、「空気中のスモッグや有害物質が多いので、家が無事でも数ヶ月は戻って来られないでしょう」と、長期的な避難生活を覚悟する声も聞かれました。
世界の大気汚染を調査する企業によると、カリフォルニア州南部の大気汚染レベルは一時、6段階のうち最悪の「レベル6」に達したとのことです。ロサンゼルス警察は、「呼吸器疾患のある方にとっては健康に悪影響を与える可能性があるため、被害地域への不要な立ち入りは控えてください」と注意喚起しています。
医師の田中健一郎氏(仮名)は、「山火事の煙には非常に細かい粒子状物質であるPM2.5が含まれており、これを吸い込むと肺や気道に大きなダメージを与える可能性があります。さらに、血液に入り込むと呼吸器系以外にも影響を及ぼすこともあります」と警鐘を鳴らしています。
山火事発生の瞬間、送電塔から出火か?
少なくとも25人が死亡、約8万8000人に避難指示が出されるなど、甚大な被害をもたらしている今回の山火事。その発端は何だったのでしょうか?
大きな被害を受けたイートン地区では、住民が火災発生の瞬間を目撃していました。住民が撮影した映像には、送電塔の下から炎が上がっている様子が捉えられていました。
撮影者は、「当時は停電していて、火災に気付いたのは車で帰宅途中の妻でした。妻の話では、丘に光が見えて、家に近付くと送電塔の脚部周辺が燃えていたそうです」と証言しています。
瞬く間に炎は燃え広がり、わずか20分ほどで空を赤く染めるほどの大火災となりました。「さようなら」と自宅に別れを告げ、撮影者はその場を離れました。この映像はカリフォルニア州アルタデナで撮影されたものです。地元紙ロサンゼルス・タイムズも、当局がこの山の送電塔を調査していると報じています。
地元住民は、送電塔からの出火が原因で自宅が焼失したとして、電力会社を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こしました。しかし、電力会社側は「調査の結果、送電塔に異常はなかった」と主張しています。
まとめ
ロサンゼルス近郊の山火事は、未だ鎮火の目処が立っておらず、強風の影響で更なる延焼が懸念されています。深刻な大気汚染による健康被害も深刻化しており、住民の不安は増すばかりです。今後の動向に注視していく必要があります。