スーパーの店頭で、冬の定番果物であるミカンが高騰しているのにお気づきでしょうか? 生産量の減少を受け、卸売価格は過去5年間で最高値を記録し、「過去最高レベル」とも言われています。今回は、ミカン価格高騰の背景と、生産現場で何が起きているのかを探ります。
ミカン価格高騰の現状
東京都練馬区にあるスーパーアキダイでは、静岡県産ミカン1盛りが780円(税抜)、和歌山県産ミカン1袋が480円(税抜)で販売されています。これは例年と比較して約2割も高い価格です。同スーパーの秋葉弘道社長は、「他の果物と比べて割高感が出ている。本来は庶民的な果物であるミカンが、気軽にパクパクと食べられない状況になっている」と現状を説明しています。
東京都練馬区のスーパーアキダイに並んだミカン
農林水産省の食品価格動向調査によると、2024年12月前半のミカン1kgの平均販売価格は769円で、前年より120円以上も高くなっています。さらに、日本園芸農業協同組合連合会(日園連)によると、2025年1月上旬の京浜市場や京阪神市場など主要4市場におけるミカン1kgの平均卸売価格は457円(税込)に達しており、担当者は「過去最高レベル」と述べています。
生産現場における課題
ミカン価格高騰の主な原因は、主要産地における生産量の減少です。気候変動による異常気象や、生産者の高齢化、後継者不足などが背景にあるとされています。例えば、柑橘専門の農業コンサルタントである田中一郎氏(仮名)は、「近年の異常気象はミカンの生育に大きな影響を与えている。特に、開花期の天候不順や夏季の干ばつ、収穫期の台風などは、生産量を著しく減少させる要因となっている」と指摘しています。
消費者の動向と今後の見通し
ミカン価格の高騰は、消費者の購買意欲にも影響を与えています。「以前は冬になると毎日のようにミカンを食べていたが、最近は価格が高くてなかなか手が伸びない」という声も聞かれます。このまま価格高騰が続けば、ミカンの消費量が減少する可能性も懸念されています。今後のミカン価格の動向は、気候条件や生産者の取り組みなど、様々な要因によって左右されるでしょう。
ミカンの選び方と保存方法
高騰しているからこそ、せっかく購入するミカンは美味しく食べたいですよね。美味しいミカンを選ぶには、皮にハリとツヤがあり、ヘタが緑色のものを選びましょう。また、持った時に重みを感じるものがおすすめです。購入後は、風通しの良い冷暗所で保存することで、鮮度を長く保つことができます。
生産現場の課題や消費者の動向を理解することで、ミカンの価格高騰に対する理解を深めることができるでしょう。