この記事では、責任感がありながらも問題行動を繰り返してしまう社員への効果的な指導方法について解説します。企業の人材育成に携わる人事担当者や管理職の方々にとって、貴重なヒントとなるでしょう。具体的な事例を交えながら、問題解決へのアプローチを探ります。
問題行動を繰り返す社員への対応：事例から学ぶ
企業の労務相談を数多く手がける社会保険労務士として、様々な企業から社員の指導に関する相談を受けます。今回は、責任感はあるものの、ミスを繰り返してしまうK野さんの事例を通して、効果的な指導法を考えてみましょう。
K野さんは、営業職として勤務する20代の女性社員。性格は悪くなく、仕事への責任感も持ち合わせているものの、業務上のミスを繰り返してしまうという問題を抱えていました。先輩社員からの指導や顧客への謝罪対応など、様々な対策が取られてきましたが、改善は見られず、最終的には指導にあたっていた先輩社員が休職に追い込まれてしまう事態に発展しました。
従来の指導法の問題点
K野さんへの指導は、問題発生の度に先輩社員が口頭で注意し、マネージャーに報告する形で行われていました。顧客とのトラブルが発生した際は、K野さんを交えて謝罪文を送付したり、謝罪訪問に同席させたりもしていました。一見、適切な対応に見えますが、K野さんにとっては「受け身」の対応になっており、自身の行動を振り返り、改善につなげる機会が不足していたと考えられます。
alt: 謝罪の様子。真剣な表情で顧客と向き合うビジネスマン
さらに、指導内容が口頭での注意にとどまり、記録として残されていなかったことも問題でした。指導履歴を残すことは、後々のトラブル防止だけでなく、社員の成長を客観的に評価するためにも重要です。
効果的な指導のための改善策
K野さんのようなケースでは、指導方法を工夫する必要があります。例えば、ミスが発生した際に、業務日報に反省点や改善策を記載させたり、始末書を提出させたりすることで、自己反省を促し、再発防止につなげることができます。
人事コンサルタントの山田氏は、「社員の個性に合わせた指導が重要です。K野さんのように責任感の強い社員には、自身の行動が周囲にどのような影響を与えているかを理解させることが効果的です」と指摘しています。
個性に合わせた指導で成長を促進
K野さんは、先輩社員の休職を自分のせいだと感じており、責任感の強さが伺えます。注意にも素直に従う姿勢を見せているため、伝え方次第で改善が見込めるでしょう。
指導のポイント
- ミスを具体的に指摘し、何が問題だったのかを明確に伝える。
- ミスによって生じた影響を説明し、責任感を持つことを促す。
- 改善策を一緒に考え、実行をサポートする。
- 指導内容を記録し、定期的に振り返りを行う。
alt: オフィスで指導を受けている女性社員。上司の説明を真剣に聞き、メモを取っている。
これらのポイントを踏まえ、K野さんの個性に合わせた指導を行うことで、責任感と業務能力を兼ね備えた人材へと成長を促すことができるでしょう。
まとめ：責任ある社員を育成するために
問題行動を繰り返す社員への指導は、根気と工夫が必要です。個々の社員の特性を理解し、適切な指導を行うことで、責任感と能力を兼ね備えた人材を育成することが可能となります。企業の成長にとって、社員の育成は不可欠です。この記事が、効果的な指導方法を考えるきっかけになれば幸いです。
