韓国人留学生、増加傾向に転じるも米国・日本集中が顕著

韓国の若者の海外留学事情が変化の兆しを見せています。 教育省の発表によると、2024年4月1日時点で海外に留学している韓国人学生数は12万6981人。前年比3.1%増と、6年ぶりの増加となりました。

コロナ禍からの回復と留学先動向の変化

2011年に26万人を超えていた韓国人留学生数は、コロナ禍の影響で2020年には19万人台まで減少しました。しかし、ここにきて回復の兆しが見えてきています。 その背景には、パンデミックの収束や、オンライン学習の普及による留学環境の変化などが考えられます。

韓国留学博覧会の様子韓国留学博覧会の様子

米国、日本への集中が顕著に

留学先を見ると、米国が全体の34.5%を占めて依然としてトップです。 注目すべきは日本が2位に浮上したこと。前年比16.3%増の1万5930人が日本で学んでいます。 韓国の食文化評論家、パク・ヨンジン氏は「近年の日韓関係改善や、日本のポップカルチャーの人気上昇が留学先としての日本の魅力を高めている」と分析しています。

中国への留学は減少傾向

かつて韓国人留学生の最多受け入れ国だった中国は、前年比8.5%減と減少傾向が続いています。 2017年には7万人を超えていましたが、現在は5分の1程度にまで落ち込んでいます。 国際情勢の変化や、中国国内の教育環境の変化などが影響していると考えられます。

カナダ、オーストラリアも減少傾向

中国だけでなく、カナダやオーストラリアへの留学も減少傾向にあります。 特にオーストラリアは前年比38.1%減と大幅な減少を見せています。 一方で、台湾への留学は61.9%増と急増しています。 台湾への留学増加について、教育コンサルタントのイ・スンヒ氏は「台湾の高度なIT産業や、比較的低い学費が魅力となっているのではないか」と推測しています。

今後の韓国人留学生動向

コロナ禍からの回復傾向が見られるとはいえ、ピーク時の半分程度にとどまっている韓国人留学生数。 今後、パンデミックの影響が薄れるにつれて、さらに増加していくのか、また、留学先の多様化は進むのか、今後の動向に注目が集まります。 日本への留学増加は、日韓関係の改善を示す一つの指標と言えるかもしれません。