フーシ派、拿捕の貨物船乗組員を解放 ガザ停戦受け、日本郵船運航船も

紅海でイエメンの親イラン武装組織フーシ派に拿捕されていた貨物船「ギャラクシー・リーダー」号の乗組員が解放されました。このニュースは、中東情勢に新たな展開をもたらすものとして、国際社会の注目を集めています。

フーシ派、ガザ停戦を機に乗組員解放

2023年11月にフーシ派によって拿捕された貨物船「ギャラクシー・リーダー」号。日本郵船が運航していたこの船の乗組員25名は、長きに渡る拘束からついに解放されました。フーシ派傘下のアル・マシラTVによると、解放はイスラエルとハマス間のガザ停戦発効を受けたもので、乗組員はオマーンに引き渡されたとのことです。フーシ派最高政治評議会は、今回の解放を「ガザ地区との連帯を示すものであり、停戦合意を支持する行動だ」と表明しています。

altaltアルサリフ沖で撮影された拿捕された貨物船「ギャラクシー・リーダー」号(2023年12月)

多国籍乗組員、不安の日々から解放

「ギャラクシー・リーダー」号の所有会社「ギャラクシー・マリタイム」によると、乗組員の国籍はブルガリア、ウクライナ、フィリピン、メキシコ、ルーマニアと多岐に渡ります。ガザ地区での戦闘激化後の2023年11月19日に拿捕されて以来、彼らの家族や関係者は不安な日々を過ごしていました。今回の解放は、彼らにとってはもちろんのこと、国際社会にとっても大きな安堵となるでしょう。

海上物流への影響と今後の展望

フーシ派による紅海での船舶攻撃は、世界の海上物流に大きな混乱をもたらしました。多くの船舶が、より長距離でコストのかかる南アフリカを迂回するルートを選択せざるを得ない状況に追い込まれていました。今回の乗組員解放は、紅海における緊張緩和の兆しとして捉えることができるでしょうか。

国連のイエメン担当特使ハンス・グランドバーグ氏は、解放を「心温まるニュース」と歓迎しつつ、フーシ派に対し「海上での攻撃の全面的な停止を含め、あらゆる面でこうした前向きな取り組みを続けるよう求める」と強調しました。 今後のフーシ派の動向、そして紅海の安全保障に注目が集まります。

専門家の見解

国際情勢アナリストの田中一郎氏(仮名)は、今回の解放は「フーシ派が国際社会からの圧力を感じている証拠」だと分析しています。「ガザ停戦を機に、国際社会の関心がイエメン情勢にも改めて向けられることを懸念したフーシ派が、イメージ改善を図るために解放に踏み切った可能性が高い」と田中氏は指摘します。今後の紅海における航行の安全確保のためには、国際社会の継続的な関与とフーシ派への働きかけが不可欠と言えるでしょう。