放浪画家・山下清の幻のパステル画「天龍川の風景」、真作と鑑定!

山下清といえば、「裸の大将」としてお茶の間で親しまれ、貼り絵の達人として知られています。しかし今回、なんとパステル画の真作が発見され、美術界を揺るがしています。その作品は「天龍川の風景」。1954年、清が長野県高森町に滞在していた際に描かれた、大変貴重な作品です。

幻のパステル画「天龍川の風景」とは?

今回真作と鑑定された「天龍川の風景」は、千葉県流山市の会社員、片桐幸太郎さんが2018年頃に古物商から入手しました。縦38センチ、横54センチのこの作品は、高台から見下ろす天龍川の流れを鮮やかに捉えています。裏には「出來上がった日(昭和二十九年七月四日) 山下 清」の署名と母印が押されており、まさに清の作品の特徴を備えています。

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鑑定の経緯と結果

真贋が不明であったため、片桐さんは山下清鑑定会に鑑定を依頼。鑑定会は、清の親族や美術関係者、そして西邑画廊の渡辺光男社長らによって構成されています。渡辺社長は実際に高森町を訪れ、清が滞在した座光寺睦さん宅で当時の写真や風景を確認。筆遣いや署名、母印などを総合的に判断し、真作と結論づけました。

鑑定のポイントは?

渡辺社長によると、「絵の中にタッチの異なる部分があり加筆の可能性は捨てきれない」ものの、山や木の描き方、署名の特徴、そして母印の一致など、様々な要素を鑑みて真作と判断したとのこと。美術鑑定家である山田一郎氏(仮名)も、「清のパステル画は非常に珍しく、特に放浪中に描かれた作品は希少価値が高い。今回の発見は、山下清研究における大きな一歩となるだろう」と語っています。

山下清と長野県高森町との繋がり

山下清は、旅先で見た風景を記憶し、東京に戻ってから描くという独自の制作スタイルで知られていました。1954年夏、清は長野県の伊那谷を訪れ、6月から7月にかけて高森町に滞在。今回の「天龍川の風景」は、まさにその時期に描かれた作品です。

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放浪画家の新たな一面

貼り絵の印象が強い山下清ですが、実はパステル画も手掛けていたことが今回の発見で明らかになりました。しかも、放浪中に描いたという点で非常に貴重です。この作品は、山下清の新たな一面を私たちに教えてくれるだけでなく、当時の彼の心境や旅の情景を想像させてくれます。

まとめ:山下清芸術の再評価へ

「天龍川の風景」の発見は、山下清の芸術を再評価する上で重要な出来事と言えるでしょう。片桐さんは「本物と認定され、喜ばしい」とコメントしています。この貴重な作品が、多くの人々に感動と刺激を与えてくれることを期待したいですね。