和歌山選挙区で注目される参議院議員選挙は、現在、予測不能な展開を見せている。特に、地元政界関係者の間で囁かれているのは、ある意外な女性候補の登場と、ベテラン自民党議員との過去の「親密な関係」に関する報道だ。この状況は、既に激化している党内対立に新たな波紋を広げている。
自民党内の「代理戦争」と保守分裂
和歌山選挙区は改選数1の激戦区であり、その背景には、かつて強大な影響力を持った二階俊博元幹事長(86)の地盤を巡る動きがある。昨年政界を引退した二階氏の後継を巡り、今年2月には、三男の二階伸康氏(47)と、世耕弘成前参院幹事長(62)に近いとされる前有田市長の望月良男氏(53)が自民党の公認候補の座を争った。県連役員による投票の結果、二階伸康氏が公認を得た。
しかし、この決定で事態が収まることはなかった。公認を逃した望月氏は、その後無所属での出馬を表明。これにより、自民党公認候補と、世耕氏に近い無所属候補がぶつかり合う「保守分裂」の構図が生まれた。この分裂選挙に野党候補が絡み、情勢は一層複雑化している。
突如として名乗りを上げた新顔
こうした自民党内の混乱が続く中で、選挙戦に新たな要素が加わった。自民党の公認候補が決定したわずか5日後、2月14日のバレンタインデーに、一人の女性が無所属での立候補を表明し、記者会見を開いた。
爽やかな笑顔が印象的な末吉亜矢氏(54)は、地元不動産会社の社長を務める人物だ。帝塚山学院大学を卒業しており、過去には和歌山青年会議所(JC)の理事長も経験している。地元での活動歴もある、意外なタイミングでの出馬表明だった。
和歌山参院選に無所属で出馬表明した末吉亜矢氏。鶴保庸介参院議員との過去の関係が話題となっている。
鶴保庸介議員との「親密な関係」が呼ぶ波紋
この末吉氏の出馬に関して、冒頭の地元自民党関係者は、和歌山県で思わぬ「異変」として受け止められている背景を明かす。関係者によると、末吉氏は同じ和歌山県選出の鶴保庸介参議院議員(58)と、以前から親密な交際関係にあったという。
しかし、最近になって二人の関係が破局に至ったとの情報が流れ、末吉氏の今回の出馬は、鶴保議員への「当てつけ」、つまり意趣返しではないかとの憶測が、地元政界や関係者の間で広がっているのだ。この個人的な関係が、複雑な様相を呈する和歌山選挙区の情勢に、さらに一石を投じる形となっている。
鶴保庸介参院議員。和歌山選挙区の現職議員で、末吉亜矢氏との関係が報じられている人物。
まとめ:複雑化する和歌山選挙区の行方
和歌山参院選は、自民党内の世耕派と二階派による「代理戦争」という根深い対立に加え、公認を巡る分裂、そして今回報じられた現職議員と新顔候補の個人的な関係が複雑に絡み合い、極めて混戦となっている。それぞれの候補者がどのような戦いを展開するのか、そして有権者がどのような選択をするのか、今後の動向が注目される。
出典:週刊文春電子版 2025年6月28日配信記事に基づく