はじめに、韓国の若者たちが民主主義の危機感についてどのように考えているのか、大規模なアンケート調査の結果から紐解いていきます。尹錫悦大統領の弾劾集会に参加した10代~30代の若者約1000人の声を分析し、彼らの切実な思いと未来への展望を探ります。
若者が感じる民主主義の危機:権力の集中、不平等、そしてヘイトの拡散
今回の調査では、若者たちが民主主義を脅かす最も深刻な問題として「権力の集中と乱用」を挙げていることが明らかになりました。経済的不平等や政治の二極化、そして公正さの喪失といった問題も深刻だと認識されています。
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特に注目すべきは、「非常戒厳の宣布と与党『国民の力』による戒厳擁護」に対する危機感です。ある回答者は、「国家捜査機関が国民ではなく大統領室の意向を汲んでいる現状や、戒厳を容認するような世論の形成に衝撃を受けた」と述べています。これは、権力の乱用に対する強い懸念を示すものと言えるでしょう。
極右勢力の台頭とヘイト拡散への懸念
12・3内乱事態に加え、若者たちは「ヘイトの拡散と極右の勢力化、政治の二極化」についても強い危機感を抱いています。弾劾要求集会参加者を「中国人」や「共産党員」呼ばわりするなど、事実に基づかない誹謗中傷が横行している現状が浮き彫りになりました。極右勢力を扇動するフェイクニュースの拡散も深刻な問題として認識されています。
若者が求める民主主義の強化策:経済的不平等の解消、市民参加の拡大、そして協治文化の構築
危機に瀕した民主主義を強化するために、若者たちは「経済的不平等の解消と機会の平等の保障」、「市民参加と意見聴収の拡大」、「政治の二極化の緩和と協治文化構築」といった対策が必要だと考えています。
弾劾集会参加の動機:非常戒厳への衝撃、市民としての責任感、そして尹政権への失望
10代~30代の若者たちが弾劾を促す集会に参加した理由として、「非常戒厳に衝撃を受けたため」、「市民として責任を実践するため」、「戒厳宣言以前から尹錫悦政権の政策と行動に失望していたため」といった回答が多数を占めました。社会問題の改善を目的とした参加は比較的少数でした。
集会参加者の広場への要求:社会大改革、内乱捜査、そして尹錫悦罷免
広場の要求として最も多かったのは「社会大改革のための社会問題解決」でした。「内乱捜査および責任者の処罰」や「尹錫悦の罷免」よりも多くの支持を集めています。これは、弾劾が実現する可能性が高いと認識する一方で、社会大改革は今後の課題として捉えているためと考えられます。
「尹錫悦退陣のために行動する青年たち」(尹退青)の役割
尹退青は、尹錫悦大統領の退陣を求める青年たちのボランティア団体です。今回のアンケート調査を実施し、若者たちの声を社会に発信する役割を担っています。
韓国の民主主義の未来:若者の声に耳を傾け、共に未来を築く
今回の調査は、韓国の若者たちが民主主義の現状に強い危機感を抱き、未来への希望を託していることを示しています。彼らの声に耳を傾け、共に未来を築いていくことが重要です。韓国の民主主義の未来は、若者たちの積極的な参加と行動にかかっています。