愛子さま、歌会始初出席で詠まれた歌に込められた友情と学びへの情熱

皇室の新年恒例行事「歌会始の儀」が2025年1月22日、皇居・宮殿「松の間」にて厳かに執り行われました。今年の題は「夢」。国内外から寄せられた1万6000首余りの秀歌の中から選ばれた歌が披露される中、天皇皇后両陛下、そして愛子さまもご臨席され、雅子さま、愛子さまが詠まれた歌が大きな注目を集めました。本記事では、愛子さまの初出席と歌に込められた思い、そして雅子さまの歌に込められた温かい眼差しについて詳しくお伝えします。

愛子さま、歌会始に初ご出席

大学をご卒業され、社会人として新たな一歩を踏み出された愛子さま。学業を優先されていたため、歌会始へのご出席はこれまで控えていらっしゃいましたが、今年、満を持して初のご臨席となりました。愛子さまが詠まれた歌は、卒業式で友人たちと別れゆく際に抱かれた思い、そしてそれぞれの夢に向かって歩みを進める友人たちへのエールが込められた感動的な一首です。

alt=愛子さま、歌会始の儀に出席。alt=愛子さま、歌会始の儀に出席。

友情と未来への希望を詠んだ歌

愛子さまが詠まれた歌はこちらです。

我が友とふたたび会はむその日まで 追ひかけてゆくそれぞれの夢

卒業式という節目の場で、共に学び、喜びを分かち合った友人たちとの再会を願う気持ち、そしてそれぞれの夢に向かって力強く進んでいく姿に刺激を受け、自身も未来へ向かって歩みを進めていこうという決意が込められています。

歌への真摯な姿勢とご両親譲りの探究心

天皇家の歌の御用掛を務める永田和宏氏によると、愛子さまは歌の作成にあたり、一つ一つの言葉の選び方、表現方法にこだわり、永田氏とメールで幾度もやり取りを重ねられたとのこと。大学で古典文学を学ばれた愛子さまは、言葉の持つ意味、そして伝統的な和歌の表現方法に深い理解を示され、ご自身の歌に磨きをかけられました。

「会える」から「会はむ」へ:古典への敬意と探究心

当初、「ふたたび会えるその日まで」とされていた上の句ですが、永田氏から口語表現であることを指摘されたことをきっかけに、愛子さまは自ら古典文法を調べ、最終的に「ふたたび会はむその日まで」という古語表現に改められました。納得いくまで自ら調べ、理解を深めるという学びへの真摯な姿勢は、まさに天皇皇后両陛下のお姿を受け継がれたものと言えるでしょう。

雅子さまの歌に込められた温かい眼差し

雅子さまは、昨年6月の英国公式訪問で34年ぶりに訪れたオックスフォード大学への感慨を歌に詠まれました。

三十年(みそとせ)へて君と訪(と)ひたる英国の学び舎(や)に思ふかの日々の夢

かつて留学時代を過ごされた思い出の地を、今、天皇陛下と共に訪れた喜びと、過ぎ去りし日々に思いを馳せる気持ちが美しく表現されています。

リアリティ溢れる歌が共感を呼ぶ

永田氏によると、雅子さまの和歌の特徴は、ご自身の体験に基づいたリアリティのある描写です。皇后としての立場ではなく、一人の人間としての素直な感情を表現されているからこそ、多くの人々の心に響く歌が生まれるのでしょう。伝統工芸に携わる職人が孫に技術を伝える様子など、日々の生活の中で目にされた情景を歌に詠まれることもあるそうで、常に周りの人々、そして社会全体への温かい眼差しを注がれていることが伺えます。

alt=雅子さま、歌会始の儀に出席。alt=雅子さま、歌会始の儀に出席。

歌会始に見る皇室の温かさ

愛子さまの初々しい感性と雅子さまの温かい眼差しが込められた歌は、歌会始という伝統行事をより一層輝かせました。皇室の皆様の等身大の姿が垣間見える歌の数々は、国民の心に深く刻まれることでしょう。