中国政府への批判者を精神病院に強制入院させ、薬物投与や電気けいれん治療を行っているというBBCの報道が、世界中に衝撃を与えています。本記事では、この深刻な人権問題について詳しく解説し、専門家の意見も交えながら今後の展望を探ります。
強制入院の実態：被害者たちの声
BBCの取材に応じた張俊杰さん（20）は、新型コロナウイルス感染症のロックダウン政策に抗議したことで精神病院に強制入院させられたと証言しています。検査センターへ連れて行くと騙され、病院に着くと医師から深刻な精神疾患だと診断され、ベッドに拘束されたといいます。「党と政府への見解が精神疾患の根拠とされた」と張さんは訴えています。その後、花火禁止令に反した動画を撮影したことで再び強制入院となり、退院後も薬の服用を強要され、警察による監視下に置かれたと語っています。恐怖から逃れるため、張さんはニュージーランドへ亡命しました。
alt="新型コロナウイルス感染症のロックダウンに抗議した若者"
また、界立建さんは2018年、工場労働者の待遇改善を求めるデモに参加した後に精神病院へ強制入院させられました。警察による尋問の後、病院で向精神薬の服用を強要され、拒否すると電気けいれん治療を受けさせられたといいます。「全身が自分のものとは思えないほどの激痛で、何度も気絶し死にそうになった」と、当時の恐怖を語っています。界さんは現在、米国ロサンゼルスで亡命申請中です。
精神衛生法の抜け穴：強制入院の横行
中国では2013年に精神衛生法が制定され、強制入院は禁止されています。しかし、実際には政府批判者や活動家たちが精神病院に送り込まれる事例が後を絶ちません。BBCの取材に対し、複数の病院の医師が警察からの患者受け入れを認めており、「問題児」という入院タイプが存在することも明らかになりました。
著名な人権弁護士、李明氏（仮名）は、「精神衛生法は形骸化しており、政府にとって都合の悪い人物を排除するための手段として悪用されている」と指摘しています。
国際社会の反応と今後の展望
BBCの報道は国際社会から大きな反響を呼び、中国政府の人権侵害に対する非難が高まっています。国連人権高等弁務官事務所は、中国政府に対し、精神衛生法の適切な運用と人権の尊重を求める声明を発表しました。
alt="精神病院の外観"
今後、国際的な圧力が高まることで、中国政府が強制入院の慣行を改める可能性も期待されます。しかし、中国国内での情報統制が厳しいため、実態解明は容易ではありません。市民社会や国際機関による継続的な監視と、人権問題への意識向上が必要です。
まとめ：言論の自由を守るために
中国における精神病院への強制入院問題は、言論の自由を脅かす深刻な人権侵害です。国際社会は、中国政府に対し、透明性のある調査と責任者の追及を求め続けるとともに、被害者への適切な支援を提供していく必要があります。私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、声を上げていくことが重要です。
