【ソウル=桜井紀雄】韓国検察は25日、「非常戒厳」宣布を巡る内乱首謀などの容疑で捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」が逮捕、送検した尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する勾留延長をソウル中央地裁に再申請した。地裁が24日に、検察からの1度目の延長申請に対し、延長を認めない判断を出していた。検察は再申請も認められない場合に備え、尹氏の起訴に向けた準備に入った。
聯合ニュースによると、検察は27日に勾留期限を迎えるとみている。勾留延長されなければ、期限までに尹氏を拘束したまま起訴するか、釈放して在宅捜査に切り替えるか決める必要がある。
検察は尹氏と戒厳を共謀したとして、金竜顕(キムヨンヒョン)前国防相をはじめ、軍や警察の幹部らを起訴し、尹氏の内乱首謀容疑を裏付ける供述や証拠を確保してきた。このため、尹氏への捜査が十分できなかったとしても、勾留延長されない場合は26日にも起訴に踏み切る可能性が高いとみられている。
19日に逮捕された尹氏は取り調べを拒否し、捜査は難航。公捜処が予定より早い23日に起訴権を持つ検察に事件を送致したのを受け、検察は2月6日までの勾留延長を申請した。これに対し、地裁は、公捜処が既に捜査、送検した事件に関して「検察が捜査を継続する理由があるとはみなし難い」との判断を示した。公捜処の捜査の独立性や、捜査権と起訴権の分離を重視した判断だ。
検察は再申請で「検察には補完捜査をする権限があり、勾留延長が必要だ」と訴えた。一方、尹氏側の弁護団は25日、「検察は反人権的な違法捜査を中断し、即刻釈放せよ」と主張した。