トランプ米大統領は24日夜、連邦政府の主要機関の監察官十数人を一斉に解任した。米紙ワシントン・ポストなどが報じた。監察官は、政府機関内の不正や違法行為などを根絶するために議会が主導して設置した政権の「監視役」だが、トランプ氏は自身への忠誠心の高い人物を起用するのが狙いとみられる。
ポスト紙によると、解任されたのは国防総省や国務省、財務省など15省庁の監察官ら。24日夜にホワイトハウスの人事担当幹部からの電子メールで「即時解任」を通知された。その大半は第1次トランプ政権(2017~21年)に任命された人物だ。
主要省庁では国土安全保障省と司法省の監察官だけが解任を免れたという。解任された監察官の人数については、米メディアの報道に食い違いもある。
監察官を解任するには30日前までに議会に通知しなければならないと連邦法は定めているが、トランプ氏はこれを無視した形だ。民主党の連邦下院議員21人は25日、「正当な理由なく監察官を解任することは、善良な政府とは正反対であり、連邦政府の効果的かつ効率的な機能を低下させるものだ」などと指摘。「違法な行動を撤回し、米国民に対する義務を順守するよう強く求める」との書簡をトランプ氏あてに出した。
トランプ氏は1期目にも、政権に都合が悪い調査などに関与していた複数の監察官を解任した。【ワシントン西田進一郎】