中国経済の新たな起爆剤として注目を集めている「低空経済」。高度1000メートル以下の空域を活用した経済活動で、特にドローン配送サービスが急速に発展しています。この記事では、中国・深セン市におけるドローン配送の現状と、中国政府が期待を寄せる「低空経済」の将来性について解説します。
深セン市のドローン配送：近未来都市を体感
中国のシリコンバレーとも呼ばれる深セン市。世界的なドローンメーカーDJIが本社を構えるこの都市では、ドローン配送が既に市民の日常生活に溶け込んでいます。スマートフォンのアプリで注文すると、わずか15分ほどでドローンが商品を届けます。高層ビルが立ち並ぶオフィス街のど真ん中に設置された「着陸スポット」にドローンが着陸し、荷物を受け取ることができるのです。
深セン市の高層ビル群を飛行する宅配ドローン
実際にホットコーヒーを注文してみたところ、こぼれることもなく温かい状態で届きました。驚くべきは、ドローンが着陸しやすい公園などではなく、高層ビルに囲まれた場所に設置されている点です。オフィスワーカーたちは、まるで日常の風景であるかのように、次々とドローンから荷物を受け取っていました。まるで近未来都市に迷い込んだような感覚を覚えました。
安全性と実績：36万件以上の配送実績で無事故
深セン市のドローン配送は2021年から開始され、既に36万件以上の配送実績を誇ります。注目すべきは、これまで一度も事故が起きていないという点です。高い安全性を確保しながら、効率的な配送を実現していることが分かります。
低迷する中国経済の起爆剤：「低空経済」への期待
中国経済は近年、低迷が続いています。2024年のGDP成長率は目標を達成したものの、力強さに欠ける状況です。特に国内需要の低迷が深刻で、政府は消費刺激策を講じていますが、その効果は限定的です。
ドローン産業の成長：1万7000社以上の企業が活躍
このような状況下で、中国政府は「低空経済」を経済成長の起爆剤と位置付けています。中国には1万7000社以上のドローン関連企業が存在し、旺盛な民間活力を生かして「低空経済」を推進していく方針です。
10年後には75兆円規模へ：巨大市場への成長予測
専門家の見解では、中国の「低空経済」市場は10年後には75兆円規模に達すると予測されています。ドローン配送だけでなく、空飛ぶ車や貨物ドローンなど、様々な分野での活用が期待されています。
まとめ：ドローンが描く未来都市
深セン市におけるドローン配送の現状は、「低空経済」の未来を垣間見せるものです。中国政府の積極的な支援と民間企業の技術革新により、ドローンは物流、交通、インフラ整備など、様々な分野で活躍が期待されています。中国の「低空経済」は、まさに未来都市を支える重要な基盤となるでしょう。
