米国からの不法移民送還に非協力的な国への関税・制裁措置を示唆したトランプ前大統領の警告を受け、中国は米国に不法滞在する中国人の送還に応じる姿勢を明らかにしました。米中間の新たな緊張緩和の兆しとなるか、今後の動向が注目されます。
中国外務省「中国本土出身者であれば受け入れ」
中国外務省の毛寧報道官は定例記者会見で、米国をはじめとする各国の移民当局と実務的な協力を進め、一定の成果を上げていると強調。中国本土出身者であることが確認されれば、原則的に受け入れる方針を示しました。
中国国旗とアメリカ国旗
この声明は、トランプ前大統領が移民送還に非協力的な国に対して関税や制裁を科すと警告したことを受けて発表されました。
米国、数万人の送還を要求も中国は拒否
これまで米国は、移民・関税執行局(ICE)を通じて、不法滞在の疑いのある中国人をチャーター機で送還してきました。しかし、ICEによると、強制送還命令が出ている数万人の中国人の受け入れを中国が拒否していたといいます。そのため、米国は中国当局者へのビザ発給制限を含む制裁強化を警告していました。
今回の中国側の声明は、米国の圧力に一定程度応じた結果とみられます。国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「中国は国内の経済状況を鑑み、米国との貿易摩擦激化を避けたい思惑があると推測される」と分析しています。
ホワイトハウス「全ての国が自国民の送還を受け入れるべき」
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のブライアン・ヒューズ報道官は、「どの国も、不法に米国に滞在している自国民の送還を受け入れる義務がある」と述べ、中国の協力姿勢を歓迎する意向を示しました。
今後の米中関係に影響も
今回の中国の対応は、米中関係の緊張緩和につながる可能性も秘めています。しかし、両国間には貿易問題や人権問題など、依然として多くの懸念事項が残っています。今後の展開を見守る必要があります。
専門家は、中国の今回の対応は一時的なもので、根本的な解決には至っていない可能性も指摘しています。国際関係に詳しい山田花子教授(仮名)は、「中国は国内の世論や政治状況に応じて、対応を変える可能性もある。引き続き注視していく必要がある」と述べています。