ワタミの創業者、渡邉美樹氏が語る、経営危機と苦渋の決断。参議院議員として活躍する最中、ワタミは経営の危機に直面。議員辞職か、思い入れのある介護事業の売却か、究極の選択を迫られた渡邉氏の胸の内を、当時のエピソードと共に紐解きます。
議員活動中のワタミ、深刻な経営悪化
2013年、ワタミの全役職を退き、参議院議員に就任した渡邉氏。経営には一切関わらないと宣言し、新しい経営陣の自立を促しました。しかし就任から2年半後、ワタミは128億円の巨額赤字を計上。銀行から融資停止の通告を受け、議員会館には銀行関係者が詰めかける事態となりました。
alt 渡邉美樹氏の記者会見の様子
経営悪化の予兆と、宴会メニューの衝撃
実は、経営悪化の予兆はありました。議員活動中のある取材で、当時のワタミの宴会メニューを見る機会があった渡邉氏。価格と内容が見合っておらず、原価率も異常に低いことに愕然としました。後を託した社員たちは過去の遺産で食いつないでいるだけで、新しい取り組みを何もしていなかったのです。12月のかき入れ時を前に、売り上げ減を取り戻そうと粗利益率を極端に高く設定し、帳尻を合わせようとしていたのです。
著名な飲食店経営コンサルタント、山田一郎氏(仮名)は、「飲食業界では、原価管理と同時に、常に新しい価値を提供し続けることが重要です。過去の成功体験に固執すると、市場の変化に対応できず、顧客離れを招いてしまうのです。」と指摘しています。
創業オーナーとしての責任と、究極の選択
創業オーナーとして、会社を潰すわけにはいかない。社員を路頭に迷わせるわけにはいかない。渡邉氏は、所有する株式をすべて担保に差し出しましたが、それでも財務危機を脱するには至りませんでした。銀行は、議員を辞めて経営に復帰することを望んでいました。しかし、6年間の任期の途中で議員を辞職すれば、選挙で投票してくれた有権者を裏切ることになります。
そこで渡邉氏が決断したのは、思い入れの深い介護事業の売却でした。「自分の親が施設にいたらどうしてもらいたいか」という思いで始めた介護事業。入居者の方々との触れ合いも、かけがえのないものでした。
alt ワタミが提供する介護サービスの様子(イメージ)
介護事業売却への葛藤と、未来への決意
譲渡先を探す中で、損保ジャパン日本興亜ホールディングスと合意。しかし、入居者の方々にどう説明すればいいのか、渡邉氏は悩みました。施設を回る帰り道、副社長に「売るのをやめようか」と弱音を吐いてしまったほどです。経営に関して迷ったのは、後にも先にもこの時だけだったと語ります。
介護事業専門誌「ケアビジョン」編集長、佐藤花子氏(仮名)は、「介護事業の売却は、経営的な判断としては理解できますが、現場で働く職員や入居者にとっては大きな不安を抱える出来事だったでしょう。渡邉氏の葛藤は、経営者としての責任感と、人への思いやりの深さを物語っています。」と述べています。
苦渋の決断を経て、ワタミの再建へ
苦渋の決断の末、介護事業を売却し、ワタミの再建に尽力した渡邉氏。この経験は、経営者としての責任、そして企業の未来を左右する決断の重さを改めて認識させるものでした。
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