エアプサン航空の旅客機で発生した火災事故。一歩間違えれば大惨事になりかねない状況の中、乗客乗員は無事脱出しました。今回は、緊迫の脱出劇の一部始終と、乗務員の対応に対する様々な意見、そして事故原因の調査状況などについて詳しくお伝えします。
機内で何が起きたのか?緊迫の脱出劇を乗客が語る
28日夜、金海国際空港から香港に向かうエアプサンBX391便で火災が発生しました。機内中央付近の頭上荷物棚から出火したとみられており、機内は騒然となりました。40代女性の乗客Aさんは、中央日報の取材に対し、当時の緊迫した状況を語っています。
Aさんによると、離陸が20分ほど遅れるとのアナウンスの後、機内の照明が消えた直後、荷物棚から炎と煙が噴き出したとのこと。乗務員はすぐに状況確認を行い、機長室への連絡を試みていました。
エアプサン航空機火災事故現場
乗務員は消火活動を試みる一方で、乗客に落ち着いて行動するよう呼びかけました。しかし、169人の乗客が一斉に脱出を試みたため、機内はパニック状態に陥ったといいます。Aさんは「乗客同士が押し合いへし合いになり、大変な混乱だった」と振り返っています。
Aさんは乗務員の懸命な対応のおかげで大きな怪我もなく脱出できたとしながらも、一部の乗客からは対応の不備を指摘する声も上がっています。30代の男性乗客Bさんは、「初期対応や避難誘導が不十分だった」と証言しています。特に、非常口の開閉に関して乗客と乗務員の間で混乱が生じたという指摘もありました。
エアプサン側の釈明と事故原因の調査
エアプサン側は、案内放送をする時間的余裕がないほど緊迫した状況だったと釈明。非常口については、事前に開閉方法の説明を受けた乗客が乗務員の指示に従って開けたと説明しています。
釜山消防災難本部によると、火災発生から3分後には消防隊が到着し、消火活動を開始。16トンの航空燃料が積載されていたため、爆発の危険性もありましたが、迅速な対応により火災は鎮火されました。
火災が発生したエアプサン旅客機
現在、事故原因の調査が進められており、頭上荷物棚に置かれていた補助バッテリーが出火原因と推定されています。釜山市は事故収束に向けて全力を尽くすとしています。航空評論家の加藤一郎氏は「今回の事故は、機内持ち込み荷物の安全管理の重要性を改めて示すものだ」と指摘しています。
乗務員の対応に賛否両論
今回の事故では、乗務員の対応について賛否両論の声が上がっています。Aさんのように、乗務員の迅速な対応に感謝する声がある一方で、Bさんのように対応の不備を指摘する声も少なくありません。
緊急事態における対応は容易ではありません。限られた情報と時間の中で最善の判断を下すことは非常に困難です。今回の事故を教訓に、より安全な航空旅行を実現するために、関係機関による徹底的な検証が求められます。