日本経済の危機:異次元緩和の功罪と迫りくる財政破綻

日本経済は、1,104兆円(2024年度末見込み)という巨額の債務を抱え、歴史的な人口減少という逆風にもさらされています。このままでは、財政破綻という最悪のシナリオも現実味を帯びてきます。第二次世界大戦後のような厳しい国内債務調整が再び起こる可能性も否定できません。私たちは今、この危機を回避するために何ができるのでしょうか?本稿では、日本総合研究所主席研究員の河村小百合氏と前参議院予算員会調査室長の藤井亮二氏の共著『持続不可能な財政』を参考に、日本の財政危機の現状と解決策を探ります。

異次元緩和がもたらした日銀バランスシートの変容

2000年代初頭、日銀は「量的緩和」を実施していました。当時は日銀当座預金の残高も少なく、日銀が資金吸収オペレーションを行うことで短期金融市場の金利をコントロールできました。

2000年代の日銀の量的緩和2000年代の日銀の量的緩和

しかし、2013年以降の「異次元緩和」により状況は一変しました。巨額の国債買入れにより、日銀当座預金は500兆円を超える規模に膨れ上がりました。これは市場に巨額の「余剰資金」が存在することを意味し、従来の資金吸収オペレーションでは金利コントロールが難しくなりました。

ゼロ金利政策と日銀の苦悩

異次元緩和の結果、市場は「ゼロ金利」状態に陥りました。この状況を打破するために、各国の中央銀行は、かつては無利子だった中央銀行当座預金に利息を付けるようになりました。日銀も例外ではありません。

この政策により金利コントロールは可能になりましたが、新たな問題も発生しました。インフレ時には当座預金への付利も高くなり、資産サイドの国債の金利を上回る「逆ざや」状態に陥るリスクがあります。そうなれば、日銀は赤字、ひいては債務超過に陥る可能性があります。

日銀の経常利益と今後の課題

現在、日銀はETF(上場投資信託)の収益により黒字を維持しています。しかし、今後の利上げにより当座預金への付利が増加すれば、日銀の赤字転落は避けられないでしょう。

日銀の経常利益推移日銀の経常利益推移

金融ジャーナリストの山田一郎氏は「日銀の財務状況は、日本経済の安定に直結する重要な問題です。今後の金融政策運営には、慎重な判断が求められます」と指摘しています。(※山田一郎氏は架空の人物です。)

まとめ:持続可能な財政への道

日本の財政は危機的な状況にあります。異次元緩和の功罪を冷静に分析し、持続可能な財政への道筋を描くことが急務です。私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、解決策を探ることが重要です。