米国での半導体生産拠点拡大を目指すサムスン電子とSKハイニックス。バイデン政権下で巨額の補助金支給が約束されていましたが、トランプ政権の商務長官に指名されたハワード・ラトニック氏が、この補助金政策の再検討を示唆し、波紋が広がっています。今後の日韓半導体業界への影響はどうなるのでしょうか？詳しく見ていきましょう。
米国半導体補助金政策の行方
バイデン政権は、半導体生産の国内回帰を促進するため、巨額の補助金政策を打ち出しました。サムスン電子とSKハイニックスもこの政策の恩恵を受け、米国での工場建設に多額の投資を行う計画を進めていました。
サムスン電子のテキサス州テイラー工場
しかし、ラトニック氏の就任により、この補助金政策の先行きが不透明になっています。上院人事聴聞会での発言を受け、業界関係者からは懸念の声が上がっています。 韓国産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は、「補助金縮小は米国製半導体の価格競争力低下につながるため、企業が投資規模を調整する可能性がある」と指摘しています。
サムスン電子とSKハイニックスへの影響
サムスン電子はテキサス州テイラー市に、SKハイニックスはインディアナ州にそれぞれ工場を建設する計画を進めています。 両社とも、米国での高人件費や厳しい環境規制を、バイデン政権の補助金で相殺する戦略を描いていました。補助金が縮小、もしくは支給が見送られた場合、投資計画の見直しは避けられないでしょう。
サムスン電子はすでにテイラー工場に多額の投資を行っており、「現時点では計画変更について言及するのは時期尚早」としています。一方、SKハイニックスは着工前であるため、状況を注視している段階です。
補助金政策再検討の可能性と業界の見方
一部では、補助金政策の大幅な変更はないとの見方もあります。ホワイトハウスが補助金執行中断の通達を撤回した経緯もあり、すでに締結された契約を覆すのは難しいとの見解も出ています。ある政府関係者は、「新政権が補助金支給を撤回した場合、訴訟が相次ぐ可能性もある」と指摘しています。
また、国内半導体業界関係者からは、「政権初期の政治的パフォーマンスである可能性もある」との声も聞かれます。補助金が縮小されたとしても、将来的に復元される可能性も残されています。
今後の展望
世宗大学経営学科のキム・デジョン教授は、「韓国政府・企業は、工場建設による雇用創出効果や半導体サプライチェーン構築の重要性を議会と商務部に積極的に訴えるべきだ」と提言しています。今後の動向次第では、日韓のみならず、世界の半導体業界に大きな影響を与える可能性があります。 jp24h.comでは、引き続きこの問題を追跡し、最新情報をお届けしていきます。
