米首都ワシントン近郊のレーガン・ナショナル空港近くで29日、アメリカン航空のリージョナルジェット旅客機が米軍のヘリコプター「ブラックホーク」と衝突し、空港付近のポトマック川に墜落した。
米当局者は30日、これまでに28人の遺体が収容されたとし、「現時点では生存者がいるとは考えていない」と述べた。事故による死者は60人超に上るとみられ、米国としては過去20年超で最悪の航空事故となる可能性がある。
トランプ大統領はホワイトハウスで行った会見で、航空管制システムが適切に構築されていないと主張。さらに、バイデン前大統領が航空管制官の採用基準を下げたと非難し、多様性推進の取り組みが、米連邦航空局(FAA)の能力に影響した可能性を示唆した。
「犠牲者とその家族のために黙祷を捧げたいと思う」
トランプ米大統領は30日、首都ワシントンの空港付近で発生した旅客機と米軍ヘリの衝突事故の犠牲者に哀悼の意を示した。空港に着陸しようとしていた米アメリカン航空の小型旅客機と米軍ヘリが空中で衝突。双方の67人全員が死亡した。
「私たちは1つの国民として、突然に奪われたすべての尊い魂を悼む」
だがトランプ氏はこうした発言の直後、責任追及に方向転換した。
「事故の原因は分からないが、我々は非常に強い意見や考えを持っている。そして、おそらくそれらの意見を今述べることになるだろう」
同氏はさらに、連邦政府の多様性推進の取り組みに問題があると証拠を示さず示唆し、10年以上前の連邦航空局(FAA)の文書を読み上げた。その文書は、一部の精神的および身体的障害だけでは航空管制業務に就く資格を失うことはないという内容だった。
「これには聴覚、視覚、四肢の欠損、部分的な麻痺、完全な麻痺、てんかんなどが含まれる」
ただこの政策は、第1期トランプ政権でも有効だったはずだ。
「この取り組みはFAAの多様性と包摂性採用計画の一環であり、FAAの使命である安全で効率的な移動の実現において多様性が不可欠であるとされているが、私はそうは思わない」
トランプ氏はFAAの多様性推進が、同局の能力を低下させた可能性があるという主張を裏付ける証拠を一切示さなかった。
記者「この事故は、何らかの形で多様性推進に基づく採用が原因となったと言っているのか?その主張を裏付ける証拠は何かあるのか?」
トランプ氏「そうかもしれない。我々は誰よりも高い基準を持っている」
これに対し、バイデン前政権で運輸長官を務めたピート・ブティジェッジ氏はSNSで「卑劣だ。遺族が悲しんでいる中、トランプ氏は嘘をつくのではなく、主導権を握るべきだ」と激しく反論した。