韓国で看護師を目指す学生たちの間に、就職難への不安が深刻化しています。国家試験合格後も就職先が見つからないという厳しい現実が、彼らの将来を大きく揺るがしています。一体何が起こっているのでしょうか?
病院の経営悪化で看護師採用縮小
近年の医師不足は、手術件数や入院数の減少を招き、多くの大学病院が緊縮財政を強いられています。その結果、看護師の採用枠も縮小され、看護学生たちは熾烈な就職競争にさらされています。
ろうそくの儀式に臨む看護大学生ら(c)news1
首都圏の看護大学4年生からは、「試験に合格しても、面接を受ける病院がない」という嘆きの声が聞かれます。昨年と比べても状況は悪化しており、就職活動は難航を極めているようです。韓国保健医療国家試験院によると、2025年卒業予定の看護学生は1月に国家試験を受験しましたが、合格後も就職の保証はなく、不安な日々を過ごしています。
就職率は前年の半分以下に…厳しい現実
看護学生や現役看護師が集まるオンラインコミュニティでは、「就職先がない」という悲痛な叫びが後を絶ちません。2022年に卒業した看護師は、大手病院の書類選考基準が非常に厳しく、TOEICで925点以上取得していなければ面接の機会すら得られないと語っています。地方の大学生の中には、卒業後の就職活動の厳しさを危惧し、休学して他分野でのインターンシップを経験する学生もいるほどです。
保健福祉省と韓国看護大学学長協議会の調査によると、2025年卒業予定の看護大学の就職率はわずか34%。前年の79.1%から半減しており、深刻な就職難が浮き彫りになっています。
発令待機で収入ゼロ…アルバイトで生活費を稼ぐ看護師も
就職が決まった看護師でさえ、発令待機期間の長期化に悩まされています。例えば、ソウルのアサン病院では、採用後最大2年間の発令待機期間があり、さらに1年延長される可能性もあるとされています。2023年には採用された看護師の63%が発令待機中で、待機期間中は給与が支給されないため、アルバイトで生計を立てる看護師も少なくありません。
突然の出勤要請に対応するため、正規の仕事を探すことが難しいという声や、病院近くに家を借りたものの、出勤の目処が立たず経済的な負担に耐えかねて実家に戻る看護師もいるという現状が報告されています。
看護業界から改革を求める声
看護業界は、年1〜2回の一括採用方式を見直し、常時採用への移行を求めています。韓国看護協会の関係者は、看護師不足は勤務環境の悪化につながり、患者や国民の安全にも悪影響を及ぼすと警鐘を鳴らしています。看護師不足の問題は、韓国医療全体の将来を左右する重要な課題となっています。
韓国の看護師不足問題は、医療現場の疲弊と学生たちの将来への不安を増大させています。一刻も早い対策が求められています。